秋田で梅毒感染者急増 昨年の2倍以上 夫婦、恋人間で拡大懸念

秋田で梅毒感染者急増 昨年の2倍以上 夫婦、恋人間で拡大懸念

秋田県で梅毒感染者が急増

秋田で梅毒感染者急増 昨年の2倍以上 夫婦、恋人間で拡大懸念

人口100万人当たりの梅毒感染者数

 秋田県内で性感染症の梅毒の感染例が急増している。全国的に感染が拡大傾向にある中、県保健・疾病対策課のまとめによると、10月11日現在で県に報告があった感染者数は64人。現在の形で統計を取り始めた2006年以降、最多だった19年の年間感染者数28人の既に2倍以上となっており、専門医らは注意を呼びかけている。【高野裕士】

 国立感染症研究所によると、全国の梅毒感染者は11年から増加傾向となり、19年は年間6577人(暫定値)の報告があった。現在の形で統計を取り始めた1999年以降で最少だった03年の509人の約13倍まで拡大した。

 特に秋田の感染状況は深刻だ。06、07年は1人だったが、20年は年間80人以上となるペースで報告されている。国立感染症研究所によると、20年第2四半期(4〜6月)の人口100万人当たりの県内感染者数は16・6人で、岡山、愛媛両県と並び全国で4番目に多い。東日本に限ると東京都(28・8人)に次ぐ数字で、東北では突出している。また19年同期の感染者数と比べると約4・3倍に急増しており、3倍以上になっているのは全国で秋田だけだ。

 県のまとめでは、県内では10月11日現在、性別、年齢別では40代男性と50代男性がそれぞれ13人と最も感染者が多く、全体の4割を占める。医療関係者からは、県内では性風俗産業の従事者・利用者の周辺で感染が広がっている傾向が指摘される一方、今後は夫婦間や恋人間などでの感染の広がりを懸念する声も出ている。

 研究所によると、全国で最も感染者が多いのは20代女性で、より感染リスクが高いとされる性風俗産業の従事・利用歴がない人にも広がっている。担当者は「性風俗関連が感染の発端であっても、その後にさらに拡大している可能性がある」とみる。

梅毒

 「梅毒トレポネーマ」という細菌を原因とし、主に性行為による粘膜接触などを介し感染する。感染後3週間前後の潜伏期間を経て性器などに痛みを伴わないしこりができ、3カ月〜3年ほどで血液を介して細菌が運ばれ、手のひらや足の裏など全身に発疹ができる。悪化すると大動脈瘤(りゅう)や脊髄(せきずい)に異常が生じる可能性もあり、命に関わるケースもある。

定期的に検査を

 秋田県内を含めた梅毒の感染拡大の背景などについて、おのば腎泌尿器科クリニック(秋田市)の佐藤良延院長(日本性感染症学会認定医)に聞いた。

 ――近年梅毒の感染者が国内で急増している理由として考えられることは。

 ◆インバウンド促進を背景として外国人観光客の感染者が国内の性風俗店を利用し広がった可能性や、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)による出会いの広がりの影響を指摘する声がある。しかし、明確な原因は判明していない。

 ――梅毒で特に問題な点は。

 ◆感染後に症状が出なくなる時期がある点だ。そこで治療をやめてしまい、悪化を招くケースもある。また妊娠中の女性が感染すると「先天梅毒」として胎児の発育などに悪影響を及ぼす恐れがある。

 ――県内の感染傾向として感じることは。

 ◆全国では性風俗産業の従事・利用歴がない人にも感染が広がっているのに対し、県内では従事者や利用者の周辺などに感染者が多い印象だ。新型コロナウイルスの影響で性風俗利用者が減少し感染者も減るのではと予想したが、一時期を除いて性感染症患者は逆に増え続けている。

 ――気をつけるべきことは。

 ◆衛生用品を使う際には意識を高め、心配があればパートナーと共に定期的に検査することが大切になる。また、万が一感染しても、症状がなくなったからといって治療をやめないことも重要だ。

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