マータイさんまいたドングリが宇宙へ 野口さん、被災者メッセージとISSに

マータイさんまいたドングリが宇宙へ 野口さん、被災者メッセージとISSに

小学生とコナラやクヌギの種を植えるワンガリ・マータイさん(中央)=福島市飯坂町で2006年2月14日、町田徳丈撮影

 環境分野で初めてノーベル平和賞を受賞した元ケニア副環境相、ワンガリ・マータイさん(故人)が福島市で種をまいたドングリの実が2021年春、宇宙を旅することになった。東日本大震災から10年になるのを機に、世界からのさまざまな支援に対し、被災自治体の市民が感謝のメッセージを宇宙から発信する事業の一環。関係者は「改めて宇宙から環境や平和を考える機会にしたい」と期待している。

 事業を企画したのは、茨城県の一般財団法人「ワンアース」(長谷川洋一代表理事)。地球を周回する国際宇宙ステーション(ISS)の日本の実験棟「きぼう」に被災地の写真をちりばめた横断幕を張り出し、被災地から集めた感謝のメッセージを宇宙飛行士に読み上げてもらい、その映像を来年3月11日に公開する。長谷川さんによると、11月以降に米国の新型宇宙船でISSに向かう野口聡一宇宙飛行士が担当する見通しだという。岩手、宮城、福島3県の被災地を中心に計46自治体(10月2日現在)が参加する。

 メッセージとともに、参加自治体から記念品をISSに持ち込み、地球に送り返して教育や産業に役立ててもらうことも計画している。福島市の記念品として、マータイさんが06年に同市の小学生と一緒にまいたドングリの実が選ばれた。

 マータイさんは06年に来日した際、福島市を訪問して講演し、地元の小学生と交流した。その際にまいたコナラやクヌギの種は苗木に育った後、09年に市内の史跡公園「じょーもぴあ宮畑」に植樹され、今では高さ数メートルの木に成長している。22日に当時関わった小学校から児童の代表を招き、ISSに送るドングリを採取する。

 事業に協力している日本宇宙少年団の福島分団リーダーとして記念品選定に関わった丹治誠さん(53)は「マータイさんが福島に来て来年で15年。彼女が日本で覚えた『もったいない』という言葉を改めて認識し、子どもたちに環境や平和、夢を考えてもらえるきっかけにしたい」と話す。

 メッセージや横断幕は来年2月、記念品は同5月にそれぞれ米国のロケットでISSに運ばれる。夏に日本に戻ってくる予定。長谷川さんは「分断が進む中、宇宙から世界市民に向けて感謝のメッセージを発信する意義は大きい。メッセージの作成には被災地の大勢の子どもも参加し、震災経験の継承にもつながる」と話している。【西川拓】

ワンガリ・マータイさん(1940〜2011年)

 77年、農村女性に植樹を通じた社会参加を呼びかける「グリーンベルト運動」を創設。延べ約8万人が参加、植樹した苗木は約4000万本に上る。02年のケニア国会議員選で当選し、副環境相に就任。環境保護と民主化への貢献が評価され、04年にノーベル平和賞を受賞。05年に来日した際、毎日新聞編集局長(当時)との対談で、「もったいない」という日本語を知って感銘を受け、資源の有効利用を呼びかけるMOTTAINAIキャンペーンを展開した。

関連記事(外部サイト)