長引く裁判、進む高齢化…福島原発事故・津島集団訴訟 原告団「早い判決を」

長引く裁判、進む高齢化…福島原発事故・津島集団訴訟 原告団「早い判決を」

古里・津島地区の写真を説明する原告団長の今野秀則さん=福島県大玉村で2020年8月3日、寺町六花撮影

コロナ禍も影響

 東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域になった福島県浪江町津島地区の住民が、国と東電に原状回復などを求めて福島地裁郡山支部で係争中の集団訴訟は9月25日に原告本人尋問を終えた。1次提訴から5年余り。裁判は2021年1月に結審する見通しだが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で予定は大幅にずれ込んでおり、高齢化が進む原告団は「少しでも早い判決を」と求めている。【笹子靖】

 「原発事故前の津島を返してほしいだけ。国や東電は私たちの時間を奪っている」。同支部で9月25日に行われた本人尋問の最後に、原告男性は声を詰まらせながら、そう述べた。口頭弁論は31回目。これまでに30人以上の原告が、法廷で古里への思いや避難生活によるつらい心情を語った。

 新型コロナの感染防止対策として、同地裁は法廷に通常36ある傍聴席の間隔を空けて14席にしている。5月の口頭弁論は中止になり、最近は原則として隔月2日連続で開かれていた口頭弁論が1日で行われている。裁判はこの後、12月と来年1月に被告側、原告側がそれぞれ最終弁論を行って結審する予定。コロナ禍前は9月に結審し、来年3月には判決が言い渡される見通しだった。

 原告団長の今野秀則さん(73)=大玉村大山=は「裁判の長期化は覚悟していたが、これほど長くなるとは」と話す。「裁判所の処理能力やコロナ禍の影響も分かるが、なぜもっと早く判決が出ないのかという思いが常にある」

 最初の提訴からこれまでに、原告30〜40人が亡くなった。訴えは遺族が引き継ぐ場合が多いが「古里を失って高齢化していく原告が、さらに苦痛を味わっている」という。長引く裁判でも、原告団の意思統一が継続するように努める今野さんは「判決の時期を気にしながら生きることは苦痛です。被害者の権利擁護を考えるなら、迅速な裁判で救済することを重視してほしい」と話した。

 県内などの住民約3600人が同様の訴えを起こした「生業(なりわい)訴訟」の控訴審で仙台高裁は9月30日、1審・福島地裁判決から踏み込んで国と東電の責任を認める判決を言い渡した。今野さんは「これだけ有利な判断を引き出してくれたことに力をもらった」と歓迎する。今後の裁判でのコロナ禍による影響を見通すことは難しいが、原告団は結審後できる限り早い判決の言い渡しを期待している。

津島集団訴訟

 東日本大震災に伴う福島第1原発事故で帰還困難区域に指定された浪江町北西部の津島地区住民32世帯116人が、国や東電に古里の原状回復や慰謝料を求めて2015年9月に福島地裁郡山支部に提訴した。7次提訴までの原告は計約680人。18年9月には、佐々木健二裁判長らによる津島地区の現場検証が行われた。

津島集団訴訟の経過

2015年9月 第1次提訴

  16年5月 第1回口頭弁論

  18年9月 浪江町津島地区で現場検証

     11月 第7次提訴

  20年9月 第31回口頭弁論

 ※以下は予定

     12月 被告側最終弁論

  21年1月 原告側最終弁論・結審

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