石川・富山からネパールの子へ エベレストのホテルにピアノ寄贈 「いつか音楽家を」

石川・富山からネパールの子へ エベレストのホテルにピアノ寄贈 「いつか音楽家を」

ネパールに贈られたグランドピアノと和田さん夫婦(和田さん提供)

 世界最高峰のエベレスト(8848メートル)を望み、富士山を超える標高3880メートルに建つネパールのホテルで11日、日本から贈られたグランドピアノのお披露目コンサートが開かれる。ホテルを建てたのもピアノを贈ったのも日本人で、ネパールへの思いが交わり、実現した。天空で奏でる音色が、さらなるネパールの歩みを後押しすることを願っている。

 ピアノを贈ったのは、中学校で音楽を教えていた金沢市田上本町の和田啓子さん(66)と夫の良一さん(68)。ホテルは1971年にオープンした「ホテル・エベレスト・ビュー」(全12室)で、長野県出身でネパール在住の実業家、宮原巍(たかし)さん(85)が建てた。

 和田さんは2016年、NPO法人日本ネパール女性教育協会の招きでネパールを訪問した際に宮原さんに会った。宮原さんは「観光で豊かにしたい」と、ヒマラヤなどの魅力を伝えることで働き口をつくり、経済的な自立を支援しようとホテルを建設。2軒を持つまでになった。

 和田さんもスリランカで10年、保母向けに音楽教育を手ほどきしたり、日本ネパール女性教育協会の活動にもかかわってきたりした。「何かできることはないか」と宮原さんに持ちかけたところ、「いただけるものなら、ピアノがほしい」と答えたことがきっかけになった。

 和田さんには以前、子供向けの音楽活動をしていた際に使っていたグランドピアノがあった。富山県南砺市で楽器店を営む調律師、竹田時康さん(75)に問い合わせたところ、途上国にピアノを贈る経験もあった竹田さんは、ボランティアで修繕と調律を引き受けてくれた。ピアノは今年5月に横浜港を出発。インドを経由してネパール入りし、8月にヘリコプターでホテルに運ばれた。

 コンサートでは竹田さんも現地で調律。同国内外で活躍するピアニストやバリトン歌手らも参加する。また「ピアノを実際に見てもらい、聴いてほしい」と今回、ホテル近くの学校の児童約350人を招待しており、音楽だけでなく、紙芝居を披露したり折り紙を教えたりできる人も同行し、総勢18人の訪問団となる。

 一行は7日に出発。和田さんは「私の心がこもった」ピアノを贈っただけでなく「ホテルを訪れる各国の観光客がピアノの音色に耳を傾け、コーヒーを片手に山々を眺めて思い出をつくり、再び訪れてくれればうれしい」と期待を込める。

 ネパールでは、まだ音楽や美術、体育などの教育環境には手が回っていない。「子どもたちには、このピアノを通して、美しいものを美しいと感じられるきっかけになってほしい」と話し、いつかネパールから、音楽家が出ることを願っている。【浅見茂晴】

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