しゃりの上にミョウガが名物「丸八やたら漬」135年、消える老舗を映画に 山形

しゃりの上にミョウガが名物「丸八やたら漬」135年、消える老舗を映画に 山形

映画「丸八やたら漬 Komian」のワンシーン=「丸八やたら漬 Komian」製作委員会提供

 これは、あなたの街の物語です――。5月末に閉店した山形市の老舗漬物店「丸八やたら漬」。その135年の歴史を映像に残そうと、市民有志が映画「丸八やたら漬 Komian」の製作に取り組んでいる。来年10月の山形国際ドキュメンタリー映画祭での発表を目指し、支援も募っている。監督の佐藤広一さん(42)は「当たり前の街の風景が変わっていくことへの問いかけになっているのでは」と話す。【日高七海】

 「(映画化は)期待というより、ありがたい気持ちです」。11月、解体作業が進む土蔵や店舗を前に、最後の社長・新関芳則さん(67)は目を細めた。同市中心市街地にあったなじみある風景は、年内には跡形もなく、消えてしまう。

 丸八やたら漬は、1885(明治18)年にみそやしょうゆの醸造業として創業。地元の豊富な野菜を生かした「やたら漬」、しゃりの上にミョウガの漬物を乗せてすしに見立てた「漬物寿司(すし)」は看板商品となり、1992年には土蔵を改装した「お食事処 香味(こうみ)庵(あん)」がオープンした。同所は93年の同映画祭から「香味庵クラブ」と呼ばれる社交場として親しまれ、2007年には店舗などが国登録有形文化財になった。

 しかし、食文化の変化で漬物の売り上げ減少。新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけ、新関さんが廃業を決断し、今年5月末に閉店した。

 そんな中、「建物が残るうちに記録を残したい」と、8月に製作委員会が発足。新関さんら関係者へのインタビュー、山形の食や蔵の文化などを深掘りした映像などを盛り込むという。同委員会の里見優会長は「映画祭では、世界中の人が『香味庵クラブで会いましょう』を合言葉にしていた。山形の文化を覚えていてほしい」と期待を込める。

 同委員会では市民プロデューサーを募っており、寄付するとエンドロールに字幕で名前が掲載されたり、先行上映に招待されたりする。プロデューサーの高橋卓也さん(64)は「街と自分たちの関係性や『古いものに新しい視点で価値を見いだす』ことを見つめ直す契機になれば」と話す。

 問い合わせは高橋さん(080・9639・9212)。

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