「全集中 安全の呼吸 壱の型」 願い込め、交通安全標語にも「鬼滅」ブーム

「全集中 安全の呼吸 壱の型」 願い込め、交通安全標語にも「鬼滅」ブーム

愛知県警が考案した標語=名古屋市内で2020年11月19日午後10時6分、高井瞳撮影

 公開中のアニメ映画が大ヒットするなど社会現象を巻き起こしている「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」のキャラクターのせりふや技の名前をもじった交通安全の標語が、全国各地の交通情報板に表示され、ネット交流サービス(SNS)上で話題だ。情報板を管理する各県警の担当者らは「空前の大ヒット作品にあやかって話題を作り、年末にかけて増加する交通死亡事故を防ぐ一助になれば」と期待を込める。

 今年の交通事故死者数が134人(19日現在)で全国ワーストの愛知県。11日から交通量の多い県内77カ所に「飲酒運転 無惨(むざん)な事に! 自滅の刃」との標語を表示している。

 「無惨」は作品に登場する最強の鬼「鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)」から取った。飲酒運転で単独事故を起こしたり、逮捕されたりすれば、人生が大きく変わってしまうというメッセージを、漫画のタイトルをもじって「自滅の刃」と表現した。ツイッター上では「センスを感じる」「うまいな」など多くのコメントが寄せられている。

 標語を考案した愛知県警千種署交通課の上野大輔警部補は「年末は飲酒の機会が増えるので、軽い気持ちで飲酒運転をしないでほしいという思いを込めた。少しでもドライバーの意識に残れば」と話す。

 「鬼滅の刃」では、主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)ら「鬼殺隊」の剣士が集中力を高めて発動する呼吸法から繰り出す技で鬼を倒す。佐賀県警は「全集中 安全の呼吸 壱の型」など3種類の標語を10月から12カ所の情報板に表示。県警の担当者は「幅広い世代に人気な作品。ドライバーの心に響く言葉で事故を食い止めたい」。毎年、流行語などを用いた標語を多く取り入れている熊本県警も、映画のタイトル「鬼滅の刃 無限列車編」にかけて「譲り合い 無限に連なる 思いやり」などの標語を作成している。

 社会の流行を交通安全標語に取り入れることの効果を実感しているのは岐阜県警だ。同県では2014年に流行語となったお笑いコンビ・日本エレキテル連合のギャグを使い、「飲酒運転 ダメよ〜ダメダメ」と表示したところ、同年の交通事故死者数が前年比32人減の93人になり、統計以来最少(当時)になった経験がある。

 そこで今年は「鬼滅の刃」のキャラクターの技やせりふをもじった標語10種類を作成。月曜は「交通安全の呼吸」「壱ノ型 ベルト着用」、週末は「交通安全 大切なのは今なんだ」「全集中! 交通安全」などと、曜日ごとに標語を変えているという。県警交通規制課の泉正人課長は「ハンドルをしっかり持って、安全運転に『全集中』を心がけてほしい」と呼びかけている。【高井瞳】

<「鬼滅の刃」をもじった主な交通安全標語>

■愛知県警

飲酒運転 無惨な事に! 自滅の刃

■岐阜県警

交通安全の呼吸 壱ノ型 ベルト着用

交通安全の呼吸 弐ノ型 早めのライト点灯

交通安全の呼吸 参ノ型 適正な車間距離

全集中! 交通安全 4時だ! 全点灯!

全集中! 交通安全 どうでもいいことなんて無い!

■佐賀県警

全集中 安全の呼吸 壱の型 確認 事故多発 安全確認の徹底を!

全集中 安全の呼吸 弐の型 車間 追突防止 車間距離の確保を!

■熊本県警

全集中 横断者発見 停止の型

譲り合い 無限に連なる 思いやり

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