「細胞スプレー」で心不全の再生治療 大阪大が発表

 重症心不全患者の治療法として、心筋細胞などに変化する幹細胞を心臓に噴霧する「細胞スプレー法」を開発したと、大阪大が29日、発表した。保険適用を目指し、安全性や有効性を確認する治験(臨床試験)を2021年10月までの計画で始めた。

 治験は、血流の悪化で心筋が弱る虚血性心筋症で、手術が必要な重症患者3人が対象。血流を回復する冠動脈バイパス手術の際に、間葉系幹細胞3億個と手術用接着剤を心臓の表面に噴霧する。バイパス手術のみの患者3人と比較し、有効性を調べる。

 これまでにミニブタで実験し、有効性を確認したという。噴霧した細胞から出るたんぱく質「サイトカイン」が詰まった血管などに作用し、血管の再生や微小血管の血流の回復が期待される。

 使用する間葉系幹細胞は製薬会社が供給するため、細胞の加工施設がない病院でも実施でき、噴霧自体も数十秒で済む。

 治験の責任者の澤芳樹・阪大教授(心臓血管外科)は「一般的な外科医が使用する止血用の生体組織接着剤に混ぜて噴霧するので、極めて簡便だ。技術や場所を選ばずに再生医療が可能になる」と話した。【渡辺諒】

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