石木ダム訴訟 1審を支持 取り消し求めた住民らの訴え棄却 福岡高裁

石木ダム訴訟 1審を支持 取り消し求めた住民らの訴え棄却 福岡高裁

石木ダム訴訟の高裁判決を前に横断幕を掲げて裁判所に向かう水没予定地の住民ら=福岡市中央区で2019年11月29日午後0時38分、浅野孝仁撮影

 長崎県と同県佐世保市が計画する石木ダム事業(同県川棚町)を巡り、反対する住民ら106人が国に事業認定の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁(西井和徒裁判長)は29日、「国の判断に裁量の逸脱など違法はない」として1審・長崎地裁判決を支持し、住民らの控訴を棄却した。住民側は上告する方針。

 石木ダムは佐世保市の水不足解消と治水を目的に建設が計画され1975年に国が事業採択。2013年に国が土地収用法に基づき事業認定した。水没予定地の住民らが提訴し、「(人口減の中で)市の水需要予測は過大で、治水面も河川改修などで対応できる」などと主張していた。

 判決は、生活用水や工業用水などで需要が増え、24年度に1日4万トンが不足するとした市の予測(12年度算出)について、市民1人の使用水量を全国平均(09年度)より低く設定しているなどと指摘し「明らかに不合理な点があるとはいえない」とした。県の洪水想定についても国の基準などに従っているとし、石木ダムを必要とした判断を妥当とした。

 また、移転が必要となる住宅の代替宅地が造成され、地域コミュニティーを一定程度再現することも不可能ではないとし「ダム建設の利益より、失われる利益が大きいとはいえない」と判断した。【宗岡敬介】

原告怒りあらわに「ダムは必要ない」

 1審に続く敗訴に、原告らは怒りをあらわにした。

 原告団は判決後に記者会見。水没予定地の住民で原告代表の岩下和雄さん(72)は「佐世保市の水需要予測は(算出のたびに)大幅に変わっていて信用できない。ダムは必要ないと確信している」と訴えた。水没予定地は今月18日の明け渡し期限が過ぎ、県による強制排除も可能な状況となっているが、「私たちはこれからも闘い抜き、ふるさとを離れるつもりはない。ただちに上告して、判断を正してもらいたい」と力を込めた。

 馬奈木昭雄・弁護団長は「高裁の判断は事実誤認で合理性を欠いている。1審判決を上書きしたようで、自分たちの判断はない。極めて不当な判決だ」と批判した。

 原告の住民や支援者ら約60人は判決後の集会で、今後も工事現場などでの抗議活動を続けることを誓い合った。【浅野孝仁】

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