シロクマ「ピース」2日に20歳 育児放棄、病も乗り越え 飼育員寄り添う

シロクマ「ピース」2日に20歳 育児放棄、病も乗り越え 飼育員寄り添う

見つめ合うピースと高市敦広さん=愛媛県砥部町上原町の県立とべ動物園で2019年11月30日午後3時3分、遠藤龍撮影

 国内で初めて人工哺育に成功し、生存記録を更新し続ける愛媛県立とべ動物園(砥部町)のホッキョクグマ(シロクマ)の雌、ピースが2日、20歳の誕生日を迎える。一般的な飼育下では寿命が25〜30年とされるシロクマ。「生きてくれてありがとう」。1日、同園で誕生会が開かれ、「育ての親」の飼育員、高市敦広さん(49)は感慨深い思いでピースを祝福した。

自宅で赤ちゃんシロクマあやした110日

 1999年12月2日、園内の動物病院。母グマが出産後間もなくパニックになり、育児放棄した。シロクマは飼育下での繁殖が難しいとされる。「どうにか元気でいて」。クマ担当の高市さんが病院に駆けつけると、母グマから保護した治療室の保育器から大きな鳴き声が聞こえた。680グラムの小さな命。「何が何でも育ててやると強い決意ができました」

 毎日ピースを自宅に連れ帰り、24時間「親」として寄り添った。110日間に及んだ自宅での飼育は苦労の連続。アザラシ用のミルクでは合わず、犬用ミルクを調製した。夜中に鳴き始めると、抱っこしてあやした。当時、シロクマの人工哺育での生存記録は75日だったが、ピースは高市さんの愛情を受け、すくすくと育った。

 生後105日目に一般公開されて以来、3歳でてんかんを患ったものの、元気な姿で来園者を笑顔にしている。今でも高市さんが近くに来ると、たくさんの人がいても高市さんめがけて一直線。柵を隔てて互いに見つめ合う。「元気にしてるか」と言葉を交わしているようだ。

 高市さんにとってピースは「三つの存在」だという。生まれた直後から育ててきた「我が子」、飼育員としての自分を育ててくれた「母」、そして、今も見とれてしまう「恋人」のような存在。高市さんは「これからも一日一日を大切にピースと歩んでいきたい」とほほえんだ。【遠藤龍】

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