なんでウインカー出さないの? 鳥取の国道で調べてみると…

なんでウインカー出さないの? 鳥取の国道で調べてみると…

ウインカーは車の進行方向を周囲に知らせる大切な役割がある=鳥取市で2021年11月15日午後6時25分、平川哲也撮影

 こんな経験がある。鳥取市内の片側2車線道路。左側車線で小さな車を走らせていると、前をゆくワンボックスカーがウインカー(方向指示器)を出さずにいきなり右へ車線変更した。心構えのないまま突然開けた視界に飛び込んできたのはスポーツタイプの自転車で、運転する男性が着たどぎつい蛍光色のシャツに思わずブレーキを踏んだ。車間距離は十分あり、どうなったわけでもないのだけど、疑問が残った。なんでウインカーを出さないの?

 調べてみた。鳥取市の千代川に架かる国道9号鳥取大橋は片側2車線道路だ。橋の西詰から米子方面に緩やかな右カーブの坂を下ると、全長約200メートルの左折レーンに続き南隈交差点が現れる。橋の方向に歩いて戻り、右カーブが切れる辺りの歩道に立った。高低差で交差点がよく見渡せるこの場所から15日午後5〜6時、左折レーンに進入する車がウインカーを出したかどうかを目視で数えた。

 「出した」か「出さなかった」かは序盤から台数が拮抗(きっこう)した。老眼のおっさん記者が手元の帳面に記録する「正」の字こそかすむが、日暮れ時でもウインカーはよく見える。車列の先頭がウインカーを出して左折レーンに入ると、後続もそれにならうケースが散見された。ドライバー心理かもしれない。

 1時間の調査で、左折レーンに入った車はオートバイ3台を含む計322台。このうち、ウインカーを出して車線変更したのは175台で「出した率」は54・34%だった。記者は四半世紀前、首都圏でトラック運転手をしている。混み合った幹線道路では車線変更のためウインカーを出すのが当たり前だったが、車列に入れてもらえないことしばしば。とはいえ、この「出した率」はいかにも低い気がする。

有罪確定なら5万円以下の罰金刑

 法律はどうなっているのだろうか。ドライバーによるウインカーなどの合図不履行は道路交通法で違反とされる。同法施行例で右左折の場合は交差点の30メートル手前から、車線変更は3秒前から合図を出さねばならないと定められている。違反者への反則金は普通自動車が6000円。違反を否認して裁判で有罪が確定すると5万円以下の罰金刑に処される。

 この合図不履行で、県警が2020年に検挙したのは580件だった。ウインカーを出さずに車が進路を変えれば事故を招く恐れがあり、県警交通企画課の畔田学次席は「右左折や車線変更する際に合図を出すのはドライバーの義務。事故防止のために習慣づけてほしい」と呼び掛ける。

 ならばなぜ、ウインカーを出さないのか。

 全国の自動車ユーザーにJAF(日本自動車連盟)が2016年に実施したアンケート(有効回答6万4677)で「ウインカーを出さずに車線変更や右左折する車が多い」と思うかどうか尋ねたところ、県の回答者は40・3%が「とても思う」と答えた。全国平均を10・9ポイント、東京都を19・2ポイント上回った背景には人口が少なく、比較的混雑しない道路事情がありそうだ。ただ、それにかこつけて「出さない」のが習慣になっているとしたらどうだろう。

 15日の調査後、南隈交差点を左折した先にウインカーを出さなかった車が止まっているのを見つけた。運転していた70代男性は「出していなかったかなあ」と頭をかいた。後日、鳥取市の20代男性にも尋ねた。「ウインカーは必ず出す」としたうえで「車線変更の時は直前にスパッと出す。長いこと出すのはダサい」と言った。いやはや「ダサい」はあんまりだ。道路は全国津々浦々に続くのだ。仮に「鳥取ルール」があるとして、他県のドライバーがそれを容認するだろうか。

 県警によると、ウインカーを出さないまま車線変更すれば追突など、交差点の左折時に出さなければ自転車やバイクを巻き込んでしまうことも考えられる。多くの車の場合、その操作はレバーを上げ下げするだけだ。皆さん、ちょいと意識して運転しませんか。【平川哲也】

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