移転の不登校児支援施設、あえて未完成に 「人間関係学んで」

移転の不登校児支援施設、あえて未完成に 「人間関係学んで」

子どもたちが完成させる創造エリアの壁を案内する大沢孝明教育長=愛知県長久手市岩作で2021年11月10日、荒川基従撮影

 愛知県長久手市教育委員会は、2022年4月に移転オープンする不登校児童・生徒の支援施設「N―ハウス あい」の壁や床の一部を、開所時にはあえて未完成のままにし、デザインなどを利用者の子どもたちに任せることにした。自己肯定感や達成感を得てもらうのと共に、その過程で内装業者などの大人と触れ合うことで人間関係を築く学習になると期待している。【荒川基従】

 現在のN―ハウスは市役所から1キロ以上離れた市民野球場の管理棟内にあり、約115平方メートルと手狭だ。移転先は市役所の隣にある3階建て(敷地面積約850平方メートル、延べ床面積約475平方メートル)の元民家で、3階以外の計約340平方メートルと庭を使用する。

 このうち、地域交流室などがある1階の創造エリア約60平方メートルと、体力作り用のジムスペースとなる2階約135平方メートルは、壁紙を貼らず床もカーペットなどを敷かない未完成の状態でオープンする。その後、子どもたちが話し合ったり、大人と相談しながら壁や床のデザインや色などを決める。完成までの期限は設定せず、やり直しも可能。施工には子どもたちも参加する。

 10月20日には、N―ハウスを利用している小中学生10人が移転先を見学し、「そんなことやっていいの?」といった驚きの声や、「いつから自分たちで貼ったり塗ったりできますか」と前向きな反応があったという。

 この構想の根底には、インターネットの発達や新型コロナウイルス感染症の影響などで、人間関係の築き方を学ぶ場が減っているのではないかという問題意識がある。吉田一平市長は「答えがあるものは、機械に任せればいい。人間関係の築き方には正解がないし、終わりもない。もめたり悩んだりの積み重ねが大切だ」と話す。大沢孝明教育長は「学校の先生以外の大人と知り合い一緒に取り組むことで、人間関係を肌で学ぶ機会になれば」と期待しており、市が2015年度に策定した教育大綱の理念「自然共生・地域共存・多様性尊重」を具現化する場にしたいという。

関連記事(外部サイト)