「第二の我が家、ここからがスタート」 横浜こどもホスピスオープン

「第二の我が家、ここからがスタート」 横浜こどもホスピスオープン

田川尚登さん=2021年11月1日、宇多川はるか撮影

 横浜市金沢区で21日、病児や家族らを支える療養支援施設「横浜こどもホスピス〜うみとそらのおうち」がオープンした。小児がんで娘を亡くした田川尚登さん(64)が構想から約10年かけ、支援の輪を広げてきた。この日開かれた落成式には、創設に向けて田川さんと共に活動してきたスタッフや医療者、地元企業や自治体関係者らが集まり、「ここからがスタートラインだ」と思いを新たにした。

 英国発祥の「こどもホスピス」は、小児がんなど重い病気や障害を抱え、治療や療養中心の生活を送る子どもや家族らのための施設。自宅と病院の中間のような存在となり、遊んだり学んだりしてもらいながら、生きている「今」を豊かにすることを目指す。国内ではまだ少なく、横浜市によると、医療機関を併設していない「地域コミュニティー型」としては、大阪市鶴見区の「TSURUMI こどもホスピス」に次いで全国2カ所目だ。

 田川さんは、1998年、小児がん「脳幹部グリオーマ」で次女はるかちゃんを6歳で亡くした。闘病中、家族や友達との「普通の時間」を過ごしたがったはるかちゃん。死後、田川さんは「もっとしてあげられることがあったのではないか」との思いを募らせ、こどもホスピス創設の夢を描き始めた。活動が具体化したのは、こどもホスピス建設を望んでいたという元看護師から約10年前に1億500万円の遺贈寄付を受けたことがきっかけだ。田川さんはNPOを設立して準備に奔走。チャリティー活動や地元企業の支援などを通しさらに計約2億円の資金が集まり、横浜市も協力姿勢を示したことから、開設が実現した。

 完成した施設は河口近くの2階建て。「うみとそらのおうち」の名の通り、大きな窓から青い海と空が見える開放的な施設だ。看護師や保育士が常駐し、施設内は病児や家族が安らげる工夫がこらされている。1階のオープンスペースは、地域住民にも開放する予定。運営は主に企業や個人からの寄付で賄う。横浜市は土地を30年間無償で貸し付け、開所後5年間は年500万円を上限に看護師の人件費を補助する。

 落成式では、田川さんが「『こどもホスピス』は『みとり』のようなイメージがあるかもしれないが、目指すのは子どもの笑顔を守る場所」と意義を語り、「第二の我が家のような場所を提供していきたい」とあいさつ。山中竹春・横浜市長は「こういうコンセプトの施設を全国に広め、大きな病を患う子どもや家族が安心して療養できる環境を整えていきましょう」と呼び掛けた。【宇多川はるか】

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