入国制限緩和されても… 実習生待つ企業「第6波」に戦々恐々

入国制限緩和されても… 実習生待つ企業「第6波」に戦々恐々

実習生待つ企業 第6波に不安

入国制限緩和されても… 実習生待つ企業「第6波」に戦々恐々

約2700人いる留学生の3割が入国できていない立命館アジア太平洋大のキャンパス=大分県別府市で2021年11月12日午後0時13分、石井尚撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う入国制限が8日から大幅に緩和され2週間となり、外国人の技能実習生や留学生の受け入れ準備が国内で始まっている。受け入れ側にとって制限緩和は朗報だが、手続きに時間がかかり、実際に入国できるのは数カ月先になるケースもある。「その間に感染の『第6波』が来たら……」。関係者は気をもみながら作業を急ぐ。

 「入国制限が緩和されたからといって今日、明日に来られるものではない。入国は来年1月末から2月になるのでは」。外国人技能実習生の受け入れ手続きなどを担う「協同組合福岡情報ビジネス」(福岡市)の武藤洋平事業部長(42)は話す。国の許可を受けた非営利の監理団体で、九州・山口の食品メーカーや自動車部品メーカーと実習生の「橋渡し役」になっている。

 政府は新型コロナの水際対策として2020年2月、中国・湖北省を皮切りに出入国管理法に基づく外国人の上陸拒否を開始。その後、対象は中国全土や韓国、東南アジア、欧米など世界に広がった。国内の感染がいったん落ち着いた20年10月にビジネス関係者や留学生、技能実習生など中長期滞在者の入国制限を緩和したが、感染「第3波」のさなかの21年1月以降はまた入国を全面的に停止した。

 貴重な「働き手」でもある外国人技能実習生の入国が制限されたことで、企業は人手不足に陥った。出入国在留管理庁によると、19年は18万8872人の技能実習生が新規入国したが、20年は6割減の8万3826人。21年は2万3407人(8月末)で2月以降は13人にとどまる。

 現在、入国を待つ実習生は数十万人とみられ、福岡情報ビジネスが関わる実習生だけでも200人以上が待機。武藤部長らは作業を急ぐが、政府の「水際対策強化」で手続きは煩雑化しているという。

 従来は入管で在留資格認定証明書の交付を受けた後、在外公館でビザを取得して実習生を入国させるだけでよかったが、現在は証明書交付後、受け入れ企業を所管する省庁の事前審査を受けなければならない。「これに2〜6週間かかる。企業の業種によっては所管庁が分からないこともある」と武藤部長。以前は10日間もあれば取得できたビザも、申請が殺到して1カ月以上かかるケースもあるという。「入国には2〜3カ月かかる計算だ。その間に第6波が来ないか。実習生を送り出す国の感染状況も影響してくる」と話す。

 留学生を受け入れる大学も心配する。95カ国・地域の留学生を受け入れる立命館アジア太平洋大(APU、大分県別府市)は学生約5700人の半数近い約2700人が留学生。そのうち約3割が入国できずオンライン授業を受けてきた。

 同大の留学生のうち、今回の制限緩和で入国できるのは20年1月〜21年3月に在留資格認定証明書を交付された448人。21年9月の入学予定者ら残る395人の入国時期は未定だ。担当者は「『第6波』が来るかもしれず、コロナが落ち着いているうちに全員を入国させられれば」と話す。

 ネパールからの留学生で約2年間入国できずにいるアレクサ・マハルジャンさん(20)はこの間、オンラインで授業を受けてきた。「オンラインは便利だけど日本語の練習相手もいないし、やっぱり対面授業の方が学びが深い。日本に行けるのでわくわくしている。教授や他の学生に会うのが楽しみです」と一日も早い入国を待ち望む。【吉川雄策、石井尚】

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