下水で感染拡大予測 東北大教授ら、ウイルス濃度調べ計算モデル構築

下水で感染拡大予測 東北大教授ら、ウイルス濃度調べ計算モデル構築

下水のモニタリングから新型コロナウイルスの感染拡大の予測モデルを構築した東北大の佐野教授=仙台市で2021年11月19日、深津誠撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大を下水検査で予測――。東北大工学部の佐野大輔教授(水質工学)らのグループがこんな取り組みを進めている。「第6波」の到来が懸念される中、下水に含まれるウイルスの量から今後1週間の新規感染者数を推定し、自治体による病床確保などに生かしてもらう考えだ。【深津誠】

 研究グループは2020年8月から1年以上にわたって、下水中のウイルス濃度について調査してきた。仙台市内の下水の約7割が流れ込む処理場で週2回サンプルを採取して分析。第3〜5波のいずれでも、検出されるウイルスの量と新規感染者数に強い相関関係がみられた。これらのデータをもとに人工知能(AI)の一種、機械学習を使って計算モデルを構築し、1週間後の新規感染者数の予測値を出している。

 下水に含まれるウイルスは、1万人当たり1人の感染者がいれば検出可能な濃度になる。最新の予測値は22日に公表され、22〜28日の新規感染者数を25人と見込む。検証段階の予測システムだが、過去の予測結果と比較することで「増減傾向はつかめる」という。

 佐野教授らは、下水中に含まれるノロウイルスの濃度と感染者数の推移が連動していることに着目。17年から仙台市と連携して「下水中ノロウイルス濃度情報発信サイト」で公開してきた。今月8日からは新型コロナの予測結果も登録者にメールで配信し、約2000人が登録している。

 現在はワクチン接種が進み、正しいマスクの着用も広まったことで、実際の感染者数が予測値を下回る傾向がある。今後はこうしたデータも計算モデルに反映させて、精度の向上を図っていく。

 佐野教授は、2回目の接種から時間が経過し、ワクチンの効果が下がってきた韓国やドイツなどで高齢者らの感染拡大が進んでいることを指摘。「仙台でも5〜6月に接種を受けた高齢者らの効き目が12月ごろから薄れるのではないか。3回目のワクチン接種が進まなければ、新規感染者数が再度予測値に近づいてくる可能性もある」と話している。

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