ヤングケアラー支援の条例提案へ 茨城県議会で自民会派

ヤングケアラー支援の条例提案へ 茨城県議会で自民会派

県内2大学の学生を招いて開かれた意見交換会=水戸市笠原町で、2021年11月9日午後1時57分、小林杏花撮影

 茨城県議会最大会派のいばらき自民党は、家族の介護や世話を担う子ども「ヤングケアラー」への支援を盛り込んだ条例案を、24日に開会した県議会で議員提案する方針を固めた。可決されれば、都道府県条例としては埼玉県に続き2例目となる。

学生と意見交換し案作成

 条例案は、いばらき自民党が今年1月に立ち上げたプロジェクトチーム(PT)が中心となり、勉強会や大学生との意見交換会、パブリックコメントなどを経て作成。案では、疾病や障害などで援助が必要な家族などを無償で介護する18歳未満の子どもを「ヤングケアラー」と定義。この年代は、社会を担う力を養う時期であることを踏まえ、「適切な教育機会の確保や自立が図れるよう、十分配慮する必要がある」としている。

 県に対しては、相談体制の整備や就学・就業支援などの施策を盛り込んだ「推進計画」の策定や成果の公表を求めるほか、市町村などにも協力を求める。教育機関は日常的にヤングケアラーに関わる可能性があるとして、生活環境を確認し、支援の必要性を把握するよう定めている。

 PT座長の鈴木将県議は「必要な情報が行き届くなどし、誰1人孤立しない社会を実現させたい」と話した。条例案は28日に同会派の議員会で了承を得た上で、12月7日までに提出する方針。

「かわいそう」は違和感 難病の弟介護する茨大生

 「ケアラーの存在を知ってほしいという思いはあるが、哀れみの対象にされてしまうのには違和感がある」。家族のケアをしてきた茨城大4年の女子学生(21)は、胸中を打ち明けた。

 両親と弟の4人家族。4歳下の弟は、染色体異常が原因の難病、パリスター・キリアン症候群を抱える。自力では歩けず、移動は車椅子。知的障害もあり、意思の疎通も困難だ。平日は特別支援学校に通うが、日常生活の大部分は家族でサポート。専業主婦の母親を中心に、代わる代わる食事や入浴の介助などをしてきた。

 家族をサポートすることは当然だと思う一方、つらかったのは街中で向けられる視線や、「大変ね」の一言。旅行に出かければ、楽しさより先に、車椅子に向けられる視線が気になった。距離を取られたりするのが嫌で、友人には弟がいるとだけ話すようになった。

 病状が悪化する可能性は低いが、回復する見込みもない。「大切な家族なので、サポートが生活の一部であることは何でもない。でも終わりがない生活を前にすると、『普通の家族だったら違ったのかな』と思うこともある」

 両親から進学や就職などを制限されたことはないが、自らの意思で自宅から通える範囲の大学に進み、就職先も通勤圏内を選んだ。残業などを考え、最終的には一人暮らしを決断したが、気がかりは残る。

 ヤングケアラー支援条例制定の広がりについて「認知度が上がるのはいいことだけど、支援とは何だろうとも思う。『かわいそう』と言われることを望んでいる人はいないはず」と話す。「誰でもケアラーになる可能性がある。(条例をきっかけに)自分がこの立場になった時にどういうサポートがほしいかを考える社会になってほしい」と訴えた。【小林杏花】

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