吉村知事「隔離期間短縮を」 感染者急増で社会インフラに影響懸念

吉村知事「隔離期間短縮を」 感染者急増で社会インフラに影響懸念

心斎橋商店街付近=大阪市内で、本社ヘリから加古信志撮影

 大阪府は12日、新型コロナウイルスの感染者が新たに1711人確認されたと発表した。1日あたりの新規感染者が1000人を超えるのは2021年9月15日(1160人)以来。吉村洋文知事は、医療従事者ら生活に不可欠なエッセンシャルワーカーの間に感染者や濃厚接触者が増えて社会生活インフラへの影響が懸念されるとして、国が定めている感染者の入院期間や濃厚接触者の隔離期間を短縮すべきだとの考えを示した。

 府内の1日あたりの新規感染者数は前週水曜(5日)が244人で、わずか1週間で感染規模は7倍以上になった。府によると、11日までの1週間の感染者は計4299人で、521人だった前週(12月29日〜1月4日)からの増加比は8・25倍となり、過去最大規模だった。吉村知事は「オミクロン株の感染拡大力は非常に高く、この数字でもまだ第6波の入り口に過ぎない」と述べ、当面は感染者の急増が続くとの認識を示した。

 府内の病床使用率は12日現在で、重症病床が1・0%、軽症中等症が19・8%。宿泊療養施設も15・2%と比較的余裕がある。

 しかし、吉村知事は、国の通知で原則、感染者の入院期間が10日間、濃厚接触者の隔離期間が14日間と定められていることから、「病床が患者で埋まる前に、医療従事者が感染したり、濃厚接触者になったりして医療機関が運営できなくなる恐れがある。学校や公共交通機関も含めて社会インフラが止まるというこれまでにはなかった問題が生じてくる」と危惧。オミクロン株の潜伏期間は3日程度とするデータがあるとして、「国はオミクロン株感染者の入院や隔離期間を短くできないか考えてほしい」と訴えた。

 さらに、府がまん延防止等重点措置や緊急事態宣言の適用を国に申請する目安についても、これまでは病床の逼迫(ひっぱく)度や重症者数に重点を置いてきたが、軽症者や無症状者の割合が多い実態を踏まえ、感染規模も考慮する考えを示した。

 府は、病床逼迫に備え、感染者用の臨時施設「大阪コロナ大規模医療・療養センター」(大阪市住之江区)について、宿泊療養施設の使用率が50%程度に達した段階で無症状・軽症者の受け入れ準備を始めるとしていた当初予定を前倒しする。

 感染急拡大の展開について、専門家は「想定内の事態」と冷静に受け止めている。大阪市立総合医療センターの白野倫徳(しらのみちのり)・感染症内科副部長は「年末年始や3連休があり、オミクロン株の高い感染力も考慮すると想定の範囲内だ」と語る。中等症、重症患者を治療している同センターでは、現時点では病床に余裕があるが、「全体の感染者数が増えれば病床が埋まってくる可能性はある。治療の選択肢も増えており、コロナとの共存を考えないといけない」としつつ、「一般の職場も同じだが、医療従事者に感染が広がれば医療が止まってしまう」と懸念を示した。

 近畿大の東賢一准教授(衛生学)は「2月ごろまでは感染者が増える状況が続く」と予測。「オミクロン株は比較的、重症化率が低いと分かっているが、感染者が増えて医療の逼迫が起きると、再び緊急事態宣言などを視野に入れる必要が出てくる。それでは社会経済活動への影響が大きい。そうならぬよう、各自が感染対策を徹底することが大事だ」と訴えた。

 府民の警戒感は高まっており、大阪市北区のPCR検査場には順番待ちの行列ができた。実家のある岡山県で9日に成人式を済ませたという大学2年の女性(20)=大阪市北区=は「人が集まる場に出たので、念のため検査を受けようと思って来た。感染の急拡大は覚悟はしていたが、身近にコロナが迫ってきている感じがしてやっぱり不安だ。人との接触は最小限にしたい」と話した。

 12日は大阪以外の近畿各府県でも感染者数が増加した。兵庫県は新たに512人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。500人を超えたのは21年9月11日以来。京都府は412人で、21年9月4日以来の400人台となった。また、和歌山県は93人となり、過去最多を記録した。【鶴見泰寿、松本光樹、高野聡、石川将来、井上元宏】

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