豪雨被災の史跡「古学堂」 修復費寄付が300万円に到達 愛媛

豪雨被災の史跡「古学堂」 修復費寄付が300万円に到達 愛媛

古学堂の全景。右の2階建てが文庫、左の平屋が学室=CFの特設サイトから

 2018年の西日本豪雨で床上浸水180センチの被害を受けて建物が全壊した愛媛県大洲市阿蔵(あぞう)の市史跡「古学堂(こがくどう)」の修復に向けたクラウドファンディング(CF)は、目標の300万円を達成した。支援者には西日本豪雨災害の復興に尽力を続ける人も目立つ。事務局は「温かいご支援をいただいた」と、計400万円を「ネクストゴール」に設定し、締め切りの24日まで広く支援を求めている。

 古学堂は約320年前の貞享・元禄年間に開かれた私塾。神職の子弟だけでなく庶民層にも門戸を広げたことで知られる。シーボルトの高弟となった蘭学者で、大阪医学校(現大阪大医学部)の創建に携わった三瀬諸淵(みせもろぶち)(1839〜77)ら多くの人材を生んだ。

 建物は2階建ての文庫、平屋の学室からなり、文庫は市史跡。建物部分だけでも約3000万円が修復に必要とされる。歴史愛好家らから約1300万円を集めており、復興に向けた「大洲古学堂保存会」が2022年度末の完成を目標に、CFでの上積みを目指してきた。事務局を担当する常磐井守道(ときわいもりみち)・八幡神社宮司(48)は「文庫の修復を行えることになり、再興への第一歩を踏み出すことができます」と感謝を表すが、水損した学室や、収蔵品の修復にはなお1000万円ほどが必要という。

 CFには、「支援活動をさせてもらった時、町が泥だらけになっていた衝撃的な様子をよく覚えています」と、西日本豪雨直後を振り返るメッセージと合わせ、120人以上が志を寄せている。

 被災で廃業した「緒方酒造」(西予市野村町地区)で製造していた日本酒「緒方洪庵」をその後、復興のシンボルとしてよみがえらせるプロジェクトを進めた佐藤功・大阪大教授もその一人。「激烈な気候変動のなか、これから日本じゅうのどこのまちでも、災害に遭う可能性がある。ならば、それを機に、失われそうになっている文化や風土の価値を再確認し、発展的に活(い)かそう。何ごとにも前向きな野村や大洲の皆さまに教えていただいたことは、地域発の全国モデルです」と話す。阪大のルーツ「適塾」を開いた蘭方医・緒方洪庵(1810〜63)と酒造の創業家が遠縁に当たることがきっかけで日本酒の復活プロジェクトを始めた佐藤教授にとっても、「学ぶことは多かった」という。【松倉展人】

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