絶滅危惧種の「タイムカプセル」 遺伝情報保存を目指し寄付募る

絶滅危惧種の「タイムカプセル」 遺伝情報保存を目指し寄付募る

国立環境研究所ではツシマヤマネコの細胞も保存している=福岡市中央区の市動物園で2013年5月14日午後1時48分、山下恭二撮影

 絶滅危惧種の細胞を凍結保存し、遺伝情報を将来に残すプロジェクトが国立環境研究所(国環研、茨城県つくば市)で進んでいる。個体数を増やす研究や、万が一絶滅した場合の原因究明などに生かすため、絶滅危惧種の遺伝情報を将来に残す「タイムカプセル」となるもので、保管などのための寄付を募っている。

 プロジェクトでは、交通事故などで死んだ絶滅危惧種の皮膚などから培養した体細胞や、受精卵などの生殖細胞を液体窒素で冷却したタンクで保存する。生物の特徴を将来に伝えるだけでなく、ウイルスなどの感染しやすさを調べて種の保全につなげる研究も進める。環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されている種のうち、哺乳類▽鳥類▽爬虫(はちゅう)類▽両生類▽魚類――の全385種の保存を目指す。

 国環研によると、これまでに2003年に死んだ日本産の最後のトキ「キン」の細胞などを含む約120種4000個体分を収集・保存している。細胞の収集や保管施設の維持管理に年間約2000万円かかり、今後保存する細胞などが増えれば施設の拡張や保存方法の見直しも必要になるという。当面の目標額は年間経費の半分の1000万円で、寄付額に応じてエコバッグなどの返礼品を贈る。

 プロジェクトを進める大沼学主幹研究員は「生殖細胞などを生きた状態で保存することは、(動物園など生息域外で保護する)域外保全と同等の意義がある。プロジェクトの維持、推進のために支援をお願いしたい」と訴える。

 国環研では植物の開花日や鳥の初鳴き日などを観測する市民参加型プロジェクト「生物季節モニタリング」への寄付も募っている。「生物季節観測」は気象庁が1953年に開始し、全国の気象台など58地点で57種の動植物を対象に行ってきたが、21年からサクラの開花など植物6種目の9現象に縮小。学術界や市民などから惜しむ声が寄せられ、国環研が後継の観測プロジェクトを立ち上げた。

 現在は全国238人の調査員が66種目の観測を試行している。寄付金は調査費用や備品購入などに充てられるという。

 プロジェクトや寄付の詳細は国環研のウェブサイトで。研究全般への寄付も受け付けている。【三股智子】

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