国交省、小型旅客船の通信状況を臨時検査へ 400隻対象

国交省、小型旅客船の通信状況を臨時検査へ 400隻対象

北海道・知床半島沖で観光船が沈没した事故を巡る事故対策検討委員会の初会合を11日に開くと発表した斉藤鉄夫国土交通相=東京都千代田区で2022年5月10日午前9時20分、木下翔太郎撮影

 北海道・知床半島沖で乗客乗員計26人が乗る観光船「KAZU T」(カズワン)が沈没した事故を受けて、国土交通省は10日、携帯電話を通信設備とする小型旅客船の事業者に対し、航路全域で通話できるかを調べる臨時の検査を実施すると発表した。検査は400隻程度が対象で、25日までに実施する。通話可能と確認できない場合、常時通信可能な通信設備への変更を求める。

 カズワンを巡っては、事故の3日前の4月20日、日本小型船舶検査機構(JCI)札幌支部が国の代行機関として船舶検査を実施しており、その際、豊田徳幸船長=行方不明=が通信手段を携帯電話に変更したいと申し出た。通信事業者のエリアマップは、その携帯電話が航路の大半で通信できないことを示していたものの、船長が海上でも通じると話したことなどから、担当者は申し出を認めていた。

 JCIは船舶検査の際、携帯電話を通信設備とする船について、航路の一部が通信事業者のエリアマップから外れていても、事業者が通じると申告した場合は変更を認めると内規で定めていた。国交省は事故を受け、この内規の変更をJCIに指導した。各事業者には、船の携帯電話の通信エリアをエリアマップで確認した上で、航路が通信エリアに入っていない場合は常時通信可能な通信設備へ変更するよう要請する。

 一方、国交省は11日、有識者による事故対策検討委員会の初会合を開催する。検討委は海事法制の有識者ら14人で構成し、気象を踏まえた運航可否判断の適正化▽船員の技量向上▽無線や救命設備の要件強化――などを議論する。今夏に中間のとりまとめを示す予定としている。10日の閣議後記者会見で斉藤鉄夫国交相は「痛ましい悲惨な事故が二度と起きないよう、安全対策の総合的な検討を進める」と話した。

 事故では今も12人の行方が分かっていない。現場周辺海域では10日、海難救助の専門技術を持つ民間業者「日本サルヴェージ」の調査船「新日丸」が現場海域で不明者を捜索した。精度の高い水中カメラを使ってカズワンの船内を調査したが、不明者の手がかりは見つからなかった。

 カズワンが沈んだ水深約120メートルで「飽和潜水」という特殊な手法により潜水士が捜索に当たる日本サルヴェージの別の船も10日、知床半島沖に向けて福岡県の門司港(北九州市)を出港した。【木下翔太郎、田中韻】

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