今何色?音声や振動でスマホに伝える新信号機 三重で整備進む

今何色?音声や振動でスマホに伝える新信号機 三重で整備進む

専用のアプリを開くと、信号の状況が音や振動で伝えられる=津市羽所町の津駅前で=2022年4月5日、寺原多惠子撮影

 視覚障害者が安心して横断歩道を渡れるよう、信号の状況を歩行者のスマートフォンに伝える「高度化PICS」と呼ばれる新しい仕組みの信号機の整備が全国で進んでいる。三重県内でも県警が2021年8月末から高度化PICSの運用を始め、21年度中で県内40カ所に整備された。22年度も整備に向けた予算をつけており、設置箇所を拡大していきたい考えだ。【寺原多恵子】

 高度化PICSは、専用の無料アプリ「信(しん)GO(ゴー)!」をダウンロードしたスマートフォンを持って、設備が導入された信号機に近づくと、無線通信で信号の色などの状況がスマートフォンに送られ、音声や振動で歩行者に伝わる仕組みだ。

 これまで視覚障害者には「ピヨピヨ」「カッコー」といった音で信号の状況を伝える音響式信号機が主流だった。しかし近隣住民から「音がうるさい」などの苦情が相次ぎ、夜間は音を消したり音量を下げたりして対応をしてきた。

 しかし18年12月、東京都内で早朝に横断歩道を渡っていた視覚障害者が車にひかれて亡くなる事故が発生。この横断歩道には音響式信号機が設置されていたが、音が止められていた時間帯だった。この事故を受け、県警でも音響式信号機の運用を見直した。21年1月から、24時間音が鳴る信号機を増やしたり、音が鳴る時間を増やしたりした。

 県警は高度化PICS導入にあたり、県立盲学校(津市高茶屋)や県視覚障害者支援センター(同市桜橋)にも意見を求めたうえで、21年8月末から運用を開始。21年度中に四日市、津、伊勢市の計40カ所で整備された。現在設置されているのは市役所などの公共施設と駅を結ぶ経路が多いという。

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 県立盲学校近くの交差点にも、高度化PICSが導入された。この交差点を通勤時に使っている同盲学校の浜野彰浩教諭(49)は導入前は、車の音や人の気配など、周囲の状況を感じながら渡っていたという。「他の人が渡っていると感じて渡っていたら、もう既に赤だったと後から気づいたこともある」と、当時の危険な状況を振り返り、整備を歓迎する。

 同校の森内啓太教諭(35)も「車のエンジン音も静かになってきているので、設置箇所が一つでも多く増えてほしい」と期待を寄せた。

 ただ、使用にはスマートフォンを出して操作したり、音声を聞きながら歩いたりしなければならず、気を取られて危ない面もあるとの声もあがった。

 県警交通規制課によると、22年度も松阪市や桑名市など計約20カ所整備する予定。同課の担当者は「高度化PICSや音響式信号機を組み合わせながら歩行者の安全を図っていきたい」としている。

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