「文化を世界に」「平和を」50年後の沖縄は 78〜14歳、8人の願い
2022年05月14日 15時36分 毎日新聞

園田佳代さん=東京都豊島区で2022年5月7日午前11時39分、春増翔太撮影
「50年後の沖縄はどんな島に?」。全国各地で暮らす沖縄にゆかりのある4人と沖縄県在住の4人に島の未来像を書いてもらった。8人の願いは――。【喜屋武真之介、竹内望、春増翔太、森口沙織、矢追健介、山口桂子】
■東京
東京都豊島区の沖縄料理カフェ「chura*chura」代表、園田佳代さん(33)
18歳で沖縄県糸満市を出て福岡や東京へ。3年前に店を開き1人で切り盛りする。「タコライスも沖縄そばも土地や家庭で味はさまざま。そんな『違い』がいつまでもありますように」
■大阪
大阪市西淀川区、三線販売店主、佐々木忠(ちゅう)さん(78)
父親が1945年ごろ、沖縄・宮古島から大阪市へ移住。佐々木さんは水道設備業などを経て、三線教室を開いている。「伝統である三線の音色が沖縄でいつまでも響き、世界中にも届いてほしい」
■広島
広島市南区の広島大大学院生、嘉陽礼文(かようれぶん)さん(44)
沖縄県浦添(うらそえ)市出身。被爆した屋根瓦を海外に送る活動を続ける。沖縄では戦争の後も、米軍機の事故や米兵による事件で多くの人が犠牲になっている。「ビクビク怖がっている状況は平和とは言えない」
■福岡
福岡市城南区の琉球舞踊家、木村清美さん(55)
沖縄県読谷(よみたん)村出身。進学を機に暮らし始めた福岡では踊りから離れていたが、25年前に教室を立ち上げた。「沖縄の生活に息づく音楽や踊りは心を温かくしてくれる。この先も文化や自然が豊かな清(ちゅ)ら島であってほしい」
■沖縄
国頭(くにがみ)村、中学生、比嘉乃愛(のあ)さん(14)
沖縄本島最北端・辺戸(へど)岬での復帰50年記念式典で三線を披露した。世界自然遺産「やんばるの森」では絶滅危惧種のヤンバルクイナやノグチゲラを見かける。「国頭で一番有名な自然がなくなったら寂しい」
那覇市、泡盛酒造所商品開発担当、仲里彬(あきら)さん(34)
泡盛造りで培った技術を生かし、ピーチパインを使ったジンやサトウキビが原料のラムなど、沖縄の素材を活用した洋酒造りにも取り組む。「世界に通じる酒造りに挑戦し、沖縄の活性化につなげたい」
浦添市、當間(とうま)明子さん(78)
太平洋戦争中にフィリピンで生まれ、戦後に引き揚げる途中で兄姉4人を餓死などで失った。復帰前は米軍病院で働き、「米国人の暮らしがうらやましかった。当時はこんな豊かな世の中になるとは思わなかった」
北谷(ちゃたん)町、砂辺地区自治会長、照屋博一さん(59)
米軍嘉手納基地に隣接する砂辺地区で生まれ育った。米軍機による騒音被害で転出する住民がいる一方、地区内に住む米軍関係者は増えたが、「早朝・深夜の騒音も改善されず、交流の機運はなかなか高まらない」
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