5歳餓死、ママ友に懲役15年 福岡地裁判決

5歳餓死、ママ友に懲役15年 福岡地裁判決

福岡地裁=福岡市中央区で2021年5月27日、吉川雄策撮影

 福岡県篠栗(ささぐり)町で2020年4月に碇翔士郎(いかり・しょうじろう)ちゃん(当時5歳)が十分な食事を与えられず餓死した事件を巡り、翔士郎ちゃんの母親の「ママ友」で保護責任者遺棄致死と詐欺、窃盗の罪に問われた赤堀恵美子被告(49)に対する裁判員裁判で、福岡地裁(冨田敦史裁判長)は21日、求刑通り懲役15年の判決を言い渡した。赤堀被告はいずれも無罪を主張し、検察側の証人として出廷した母親の碇利恵被告(40)=保護責任者遺棄致死罪で懲役5年の判決を受け控訴中=と法廷で「全面対決」の様相を呈していた。

 8月29日から8日間にわたって開かれた公判で、検察側は碇被告の証言に沿った形での立証を展開。証言を裏付けるため、両被告の間でのLINE(ライン)のやりとりや、赤堀被告の発言を碇被告が記録したとされる音声データなども証拠として提示した。

 公判で検察側は、赤堀被告が碇被告に「夫が浮気している」などのうそを信じ込ませて離婚させるなど、碇被告に周囲との関係を遮断させたと指摘。暴力団関係者の「ボス」が赤堀被告の背後にいるという架空の話や、元夫などとの間に訴訟があるといったうそを碇被告に吹き込んで精神的に支配し、碇家の生活費全般をだまし取ったとした。

 また、さまざまなルールを課す中で翔士郎ちゃんの食事を数日間抜かせるといったことを繰り返し、翔士郎ちゃんを低栄養状態に陥らせたと指摘。赤堀被告はそのことを認識していたのに食事制限の指示などを続け、碇被告にも病院に行かせなかったと批判した。

 一方、赤堀被告は被告人質問などで、碇被告の証言を全面的に否定した。

 赤堀被告が碇被告に指示をしたようにも読める、ラインに残されていたやりとりは「碇(被告)に、そう打つよう指示された」などと反論。翔士郎ちゃんを病院に連れて行かなかったのも「以前から碇(被告)には病院に連れて行くよう促したが、しなかった」と主張した。最終意見陳述で赤堀被告は「お金をだまし取ったことはない。子供の状態が分かるのは母親(碇被告)で、全て母親の責任だと思う」と語っていた。

 起訴状によると、赤堀被告は碇被告と共謀し、19年8月ごろから碇被告の子供の食事の量や回数を減らし、同10月ごろからは翔士郎ちゃんに食事を数日間与えないことを複数回継続。翔士郎ちゃんを20年4月に自宅で餓死させたとされる。また、生活費など約198万円を碇被告からだまし取るなどしたとしている。【平塚雄太、河慧琳】

園田寿・甲南大名誉教授(刑事法)の話

 本来は保護者に対して成立する保護責任者遺棄致死罪が、今回の被告のように保護者ではない人物に「身分なき共犯」として認められるのは非常に珍しい。母親の懲役5年の判決と比べ、3倍となる重い量刑の判決となったのも特殊だ。被告が全体として主導的な役割を果たし、母親に被害者を継続的に保護させなかったことに加え、公判で母親に責任を転嫁しようとした姿勢など、情状面も大きく考慮された結果だろう。

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