孤発性小血管性認知症への治療、新たなアプローチが生まれる可能性

孤発性小血管性認知症への治療、新たなアプローチが生まれる可能性

孤発性小血管性認知症への治療、新たなアプローチが生まれる可能性

脳の血管内に、通常よりも多い骨形成たんぱく質4

京都大学医学部の研究グループは、脳への血流が慢性的に低下する慢性脳低灌流などで発症する小血管性認知症の患者は、脳の血管内に骨形成たんぱく質4(BMP4)と呼ばれる分子が、通常よりも多く発現していることを発見しました。この発見によって、小血管性認知症の治療に新たなアプローチが生まれる可能性がでてきました。

研究成果は、6月に国際神経病理学会の学術誌「Brain Pathology」に掲載されました。

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「脳血管性認知症」は脳卒中や脳の循環不全が原因となって起こり、認知症患者全体の約20%を占めると言われています。

研究では、小血管性認知症の患者7名と、同年代で認知症ではない6名の脳内を解析。脳の血管内でBMP4が、通常よりも多く発現していることを発見しました。

また、細胞実験と動物実験によって、脳に届く血液の量が減少すると脳血管の細胞からBMP4が多く分泌され、脳の障害および認知機能の低下につながる可能性があることがわかりました。そこで脳の血液量を減少させたマウスに、BMP4の作用を抑える薬を投与すると、脳の障害が改善がみられたのです。

初期段階で治療介入できる可能性が生まれる

孤発性の小血管性認知症では、高血圧や糖尿病などによる細い血管の動脈硬化によって血流が滞り、脳の神経細胞が死ぬことで認知機能が低下します。そのため、これまでこの疾患に対しては、生活習慣の改善やリスク因子の管理、血流改善の薬などによる予防的なアプローチしかありませんでした。

しかし、今回の研究によって、小血管性認知症に初期段階で治療介入できる可能性が生まれました。「将来的には小血管性認知症や血管障害を合併するアルツハイマー病の治療法開発につなげていきたい」と、研究者はコメントしています。

(画像はプレスリリースより)

京都大学プレスリリース
Wiley Online Library 「Brain Pathology」掲載文

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