映画「99歳 母と暮らせば」6/8から全国順次公開

認知症の母との日々を撮ったドキュメンタリー映画

認知症を患っている母(99歳)を介護すべく実家に移り住んだ71歳の息子が母の人生最終章の日々を撮影したドキュメンタリー映画『99歳 母と暮らせば』が、6月8日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開となります。

日常茶飯事で起こる失敗や苦難、そして母のチャーミングな一面や日々の出来事で輝く愛おしい発見の数々。介護され、介護する人たちが共に幸せに暮らせる介護とは?生きていることの愛おしさが心に沁みるドキュメンタリーです。

『99歳 母と暮らせば』
配給:イメージ・テン
配給協力:ムービー・アクト・プロジェクト
?イメージ・テン

監督・企画・撮影・編集・ナレーション:谷光章

<出演>
谷光千江子 谷光賢 谷光育子 谷光章
小田中通子/谷光家の人々/川邊壽子/松本尚子/長田典/高橋綾子/前田由美子

谷光章監督インタビュー

――作品を作ろうと思った経緯を教えて下さい?

たまに実家に戻ると家族に母が怒られたり怒鳴られたりしているのを目にして、そんなことを認知症の人に言ったって今の医学じゃ治らないわけですよ、薬も発明されていませんしね。それだったら本人が不快にならないような介護があるのではないかと。私なりの接し方をしようと思って一緒に住むことを決めました。

――カメラを回そうと思ったのはすぐその時からですか?

4年前から実家に住むようになって、最初の1年間はどんな様子なのか見ていたんですけど、頻繁に認知症の症状が出るようなので、すぐにカメラを回せるように用意しておいて、何かあったらすぐ回そうかなと。母が99歳になる前から撮影を始めました。

――幼い頃谷光監督から見て母・千江子さんはどのような方でしたか?

私が幼い頃から家に友達呼んだりとか、色んな所に行ったりとか、社交的でしたね。よく母に映画なども連れてってもらいましたね。

――現在も撮影は続けていますか?

今は撮影をしていないです。100歳になるタイミングで上映してもらえばと思い作っていました。少し上映のタイミングがずれてしまいましたが、今は101歳でまだまだ元気です。

――谷光監督自身、千江子さんから似た部分(性格であったり)はありますか?

割と楽天的な所というか、何事も深刻にとらえない所というか、自由奔放な所は似ているかもしれませんね。

――介護のイメージとして暗いイメージがありますが、谷光監督は明るく介護をしています。それは敢えてしているのですか?

特に明るいところを撮ろうということではなくて、淡々と日常を切り取ってる感じなんですけどね。母も私も元々お笑い好きな関西出身の人間なので、そこに崇高な意図があってやったわけではないですね。

――谷光監督の経歴を教えて下さい。

10年近く日本映画新社という所でニュース映画の企画マンとして携わっていて、その中で色んなネタを作っていたんですけど、中には障害者とか社会的弱者などに目を向けたり、色んな人に話を聞きながら、映像でその人たちの立場になって助けられるようなことを出来ればと、常々思ってやっていました。その後はずっとフリーを続けていて、各企業のVPやテレビでドキュメンタリーなどを作っていました。

あと「NPO法人EDGE」※という所でも20年近く付き合っていまして、そこで学習支援員の養成講座というのがあって、その講演記録を今でも撮っています。
※「NPO法人EDGE」…ディスレクシア(発達障害、学習障害)の支援団体

――個人的にも発達障害の方々の支援活動をされていると聞きました。介護と似ているところはありますか?

認知症も発達障害も表に出る症状だけで判断してはいけない。様々な症状を起こすのには必ず理由があります。相手の人達の気持ちとか心の真意を理解してあげて、接していくということが絶対基本なんだろうなと思いますね。

――本編中、谷光監督は料理を作られますが、千江子さんが一番好きな手料理はなんですか?

何でも作ってあげると食べてくれますね。料理を作るのは映画づくりにも似ていて、ベストな素材を揃えて、色々な組み合わせを考えて、美味しくなる味付けをして、みんなに喜んでもらうものを作る。だから楽しいですね。

――撮影したけれども、本編で使っていない場面はありますか?

結構ありますよ。家の中にいない猫が現われたり、庭に何匹もの猿が出てきたりとか。また兄やケアマネージャーさんと足の筋肉を鍛えるために貧乏揺すりを母に教える場面などがありましたね。自分が怒っている場面は出て来ませんが、撮っていないのではなく、普段から声を荒げたり、叱ったりはしないようにしています。

――では撮影中に涙を流してしまうことや、辛い気持ちになったことは、ありませんでしたか?

感動して泣くことはありませんでしたが、正直に言って、やっぱり排泄物の粗相に出くわしたり、その始末など、しょうがないことなんですけど少し辛いものがありましたね。

――映画の中で、沢山貼っている標語のような紙は、誰が書いているものですか?

母ですね。どこからか見つけてきたりとか、自分で筆で書いたりしてますね。

――テレビのニュースでは、介護による悲しい事件や暗い話しが多いですが、どうしたらそうならないようになると思いますか?

実際施設で介護している人たちが暴力を振るったりとか虐待したりとか殺人事件があったり、それは本当に基本的な相手の人そのものをちゃんと理解した上での接し方をしていたのか?疑問に思いますね。

本当に理解して接していれば起こりえないと思いますね。ただ介護する側のストレスだったり蓄積されるものはあるんだと思いますが…。

――「人生100年時代」と言われていますが、元気で健康的に生きるには、何が必要だと思いますか?

介護する側、される側もストレスが溜らないような形で接してあげるということですね。お互いに気持ち良い関係を作っていくということが、ストレスを溜めないで楽しく気持ち良く日常を送れて、長生きできるのではないかなと思います。

――介護している側で苦しくてしょうがないという人たちに、アドバイスするとしたら?

ストレスを溜めない、余裕を持って人と接する、ということでしょうか。介護の仕事っていうのは給料も少なかったり、そういった不満だったりもあると思うんですよ。やってられるかって気持ちになったりするだろうと。そうすると暴力や暴言につながっていると思います。それは介護する本人の問題としてだけではなく、社会全体の基盤の部分で、生活が安定し、気持ち良く働ける環境整備をするなどのような策を取っていただきと思いますね。

――実際一緒に住んで介護している方には…

仕事を持って介護されている方は大変だと思うんですよ。時間がない中、次々と問題が起きて、自分の問題も抱えながらだったり。難しい部分はヘルパーさんや様々な公的な支援などを利用しながら、自分がイライラせずに余裕を持って気持ち良く接してあげられるような介護をしていってもらいたいですね。

(画像はプレスリリースより)

「99歳 母と暮らせば」公式サイト

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