認知機能レベルに深く関わるファクターを調べた研究

認知症は急に発症するわけではなく、発症の何年も前から脳は変化していると言われます。そのため、もし早いうちに適切な治療や処置ができれば、認知症の発症を効果的に抑えることができると期待できます。しかし、いったいどんなことに気を配ればいいのでしょうか?

今回は、認知機能レベルと関係があると考えられる要素を調べた研究をご紹介します。

認知症の主な症状のひとつが認知機能の低下です。まだ若くて健康に問題がなかったとしても、早いうちから認知機能の維持に気を配ることは、認知症の予防にもつながると期待できます。それでは、認知機能低下の予防につながる要素とはどんなものなのでしょうか?

この度、カナダのアルバータ大学の研究チームは、認知症ではない882人(53歳から95歳)を対象に、認知機能レベルと関係の深い要素について調べました。

まず、認知機能テストの結果をもとに、被験者を3つのグループに分けました。そして、3つのグループそれぞれの特徴を、性別や年齢、血圧やBMI、さらに学歴や運動習慣など17の要素について調べました。

解析の結果、認知機能レベルが最も高いグループでは女性の割合が高く、また高学歴の人が多く含まれることがわかりました。さらに、社交的な人が多いことも特徴でした。また、コンピューターを使ったり、外国語を学んだりなど、自分にとって新しいことを生活に取り入れている人が多いこともわかっています。

認知機能レベルが最も高いグループを、72.5歳を境に2つのグループに分けて調べたところ、72.5歳以下では、誰かと同居していること、自己管理に気を配っていることが特徴として挙がりました。これに対し72.5歳以上では、歩行速度が速く、うつ症状がない人が多いことがわかりました。

次に、認知機能レベルが最も低いグループを調べたところ、新しいことに取り組んでいる人の割合が少ないという結果が出ました。年齢別にみると、72.5歳以下では心拍数が高いことや健康診断など自己管理をしている人が少なく、また72.5歳以上では、歩行速度が遅く、社交的な活動をしている人の割合が低いことがわかりました。

以上のことから、認知機能レベルを特徴づける要素は、年齢やレベルによっても異なりますが、自分にとって新しいことに取り組んだり、社交的な活動に参加したりすることは認知機能の維持に大きく関わる可能性が示されました。

認知症は突然に発症するわけではありません。遺伝的要素や性別などの影響はあるものの、長い間の生活習慣が発症に大きく関わると考えられています。今回の調査から、認知機能レベルが高い人は、自分にとって新しいことに積極的に挑戦したり、社会的な活動に参加したりしている人が多いことが示されました。また、歩く速さなど、身体機能も認知機能に関わることもわかりました。

まだ若いし認知症なんて自分には関係ないという方でも、運動習慣や生活習慣は急に変えられるものではありません。早いうちから日々の習慣を見直して生活することが、将来的な認知症発症予防につながると言えるでしょう。

▼ご紹介した論文
Modifiable Risk Factors Discriminate Memory Trajectories in Non-Demented Aging: PrecisionFactors and Targets for Promoting Healthier Brain Aging and Preventing Dementia?
McFall GP et al. J Alzheimers Dis. 2019 Feb 11. doi: 10.3233/JAD-180571.

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