高野弁護士、ゴーン被告逃亡は「犯罪と全否定できず」

高野弁護士、ゴーン被告逃亡は「犯罪と全否定できず」

カルロス・ゴーン被告の会見キャンセルの件で取材に応じた弁護団の、左から弘中惇一郎弁護士、河津博史弁護士、高野隆弁護士(19年6月28日撮影)

会社法違反(特別背任)などで起訴された日産の前会長カルロス・ゴーン被告(65)が、国籍があるレバノンに国外逃亡した事件で、弁護団の高野隆弁護士が4日、ブログを更新し、ゴーン被告の逃亡について「彼がこの1年あまりの間に見てきた日本の司法とそれを取り巻く環境を考えると、この密出国を『暴挙』『裏切り』『犯罪』と言って全否定することはできないということである」と複雑な心情を吐露した。

高野弁護士はブログの中で、ゴーン被告が東京拘置所に拘禁されている段階から「そんなことで公正な裁判は期待できるだろうか?」などと、日本の司法制度に繰り返し、疑問を呈していたと明らかにした。同弁護士は「テロリストも盗人も政治家もカリスマ経営者も、みんな逮捕されたら、23日間拘禁されて、毎日5時間も6時間も、ときには夜通しで、弁護人の立ち会いもなしに尋問を受け続ける。罪を自白しなかったら、そのあとも延々と拘禁され続ける。誰もその実態を知らない」と日本の事情を説明したことも明かした。

また高野弁護士は「無罪判決の可能性は大いにある。私が扱ったどの事件と比較しても、この事件の有罪の証拠は薄い。検察が無理して訴追したことは明らかだ。(中略)われわれを信頼してほしい。必ず結果を出してみせる」とゴーン被告に告げたことも明らかにした。ただ、いつまでも公判の日程が決まらない上、保釈条件で指定された東京都内の制限住宅から出る際に探偵に付きまとわれるなどされる中、同被告がいら立ちを強め、弁護士への質問の度合いも減っていったとした。

高野弁護士は、昨年12月24日のクリスマスに、ゴーン被告が1カ月ぶりにキャロル夫人とパソコンを通じて面談した際、同被告が妻に「君との関係は、子供や友人では置き換えることはできない。君はかけがえのない存在だ。愛してるよ」と言ったことを明かした。その際、同弁護士は「カルロス、とても申し訳ない。本当に日本の制度は恥ずかしい。一刻も早くこの状況を改善するために私は全力を尽くすよ」と呼び掛けたものの、同被告から返事はなく「私の存在などないかのように、次の予定を秘書と確認していた」とつづり、ゴーン被告の様子に変化が見られたことを示唆した。

高野弁護士は、ゴーン被告の逃亡劇について「彼と同じことをできる被告人はほとんどいないだろう。しかし、彼と同じ財力、人脈そして行動力がある人が同じ経験をしたなら、同じことをしようとする、少なくともそれを考えるだろうことは想像に難くない」と持論をつづった。そして、個人的な意見で弁護団の意見ではないとした上で「この国で刑事司法に携わることを生業としている私にとっては、自己否定的な考えである。寂しく残念な結論である。もっと違う結論があるべきである」とし「確かに私は裏切られた。しかし、裏切ったのはカルロス・ゴーンではない」と締めた。