やま幸山口社長「今年は普通に生活できるきっかけに」一番マグロに願い込め

やま幸山口社長「今年は普通に生活できるきっかけに」一番マグロに願い込め

この日の一番マグロを落としたやま幸の山口幸隆社長(中央)とおのでら長尾真司社長(左)、坂上暁史料理長は3人そろってイチバンポーズで決めた(撮影・寺沢卓)

2022年の初競りが5日、東京中央卸売市場の豊洲市場(東京・江東区)で開かれ、注目の生のホンマグロでは、青森・大間産の211キロが最高値となるキロ単価8万円の“一番マグロ”となり、1本1688万円で落札された。仲卸「やま幸(ゆき)」とミシュラン星付き「銀座おのでら」がタッグを組んで2年連続で一番マグロをゲット。新春恒例のマグロ協奏曲を追いかけた。

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1キロ当たりで、その日の最高値が“一番マグロ”と評価される。キロ単価8万円で30日に捕獲された211キロの大間産が5日、1688万円で落札された。手に入れたやま幸の山口幸隆社長(59)は「この2年コロナでみんなが苦しんだ。だから、今年は普通に生活できるきっかけになるように絶対、一番マグロがほしかった。昨晩(午後)11時からプレッシャーで寝られなかった。(落札できて)本当にホッとした」と胸をなで下ろし「キロ単価8万円ならご祝儀の範囲。億を超える金額になっちゃいけない」と話した。

やま幸とタッグを組んだ「銀座おのでら」は昨年10月に東京・表参道に回転すし店をオープンし、一番マグロはこの回転すし店で最も早く、午後1時半に赤身と中トロのセットを通常料金1040円で提供した。近所に住む山田太郎さん(51)は「テレビで見て来ました。中トロは口の中ですぐに溶けて、赤身もとてもやわらかで、ビールと一緒にいただいて極楽を味わえた」と感激していた。

銀座おのでらでは、回転すし店の開業とともに新型コロナウイルスのまん延もあって一時閉鎖していたすし職人養成所「すしアカデミー」を約2年ぶりに復活させた。銀座おのでら広報担当は「今後、回転すし店も増やしていく。若い握り手も必要。日本文化を継承していく人材を育てたい。来年また一番マグロをとれるなら若い握り手にも握らせたい」と語った。

2年前まで一番マグロを落札していた、つきじ喜代村すしざんまいは12月28日に捕獲された173キロをキロ単価6万円の“二番マグロ”で落札価格は1038万円だった。「マグロ大王」こと木村清社長(69)も競り前につぶさにマグロの状態を目利きしていて、関係者は「とてもいい状態のマグロだった。結果、二番だったけどいい競りができた」と胸を張った。

この日競り場に並んだ生マグロは307本で昨年より24本増だった。築地のベテランのマグロ競り人は「競りは間合い。やま幸もざんまいも自分の好みの最高のマグロを落として、正常なご祝儀を出した。大人の競りだったね」と評していた。【寺沢卓】

○…211キロの青森県大間産クロマグロが、この日最高価格の1688万円で競り落とされた。新型コロナウイルスの影響で外食産業が低迷し、昨年の2084万円を下回った。都によると、記録に残る1999年以降では10番目となる。最高は2019年の3億3360万円。コロナで中止されていた一般客の見学は昨年11月に再開された。

○…豊洲市場の初競りで5日、1688万円の最高値を付けた211キロのクロマグロは、青森県大間町の漁師菊池一夫さん(52)がはえ縄で取った。自宅で取材に応じ「感無量。うれしくて言葉が出てこない」と笑みをこぼした。菊池さんは漁師歴約25年で第38大運丸の船長。最高値のマグロは、昨年12月30日午前9時ごろ、兄と漁に出た津軽海峡で釣った。腹が太く「いけるんでねぇかな」と確信を持ったという。「一番マグロは夢だった。おいしく食べてください」と話した。