植松被告の初公判倍率75倍、傍聴希望多く開廷遅れ

相模原市の知的障がい者施設「津久井やまゆり園」で2016年に入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人罪などに問われた元職員植松聖被告(29)の裁判員裁判の初公判が8日、横浜地裁(青沼潔裁判長)で行われた。

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植松被告の初公判の傍聴券抽選の集合場所は、傍聴希望者が多数見込まれ、横浜地裁ではなく、近くの公園が集合場所となる異例の事態となった。雨の中で、傍聴整理券を求め、多くの人が傘をさし、列を成した。26席の一般傍聴席を求め、1944枚の整理券が配布され、倍率は約75倍となった。整理券配布に時間がかかり、抽選発表が10時半を過ぎ、開廷時刻も20分遅れの11時20分だった。

45人が殺傷された事件で、遺族や家族の人数も多く、異例の措置が続いた。横浜地裁によると、検察側の3分の1の30席分を被害者参加制度を利用して公判に参加する家族らの席に割り当てた。法廷を正面に見た時の右側部分の約80席の傍聴席のうち、右側30席分を白色のパーテーションで仕切り、参加人席とした。裁判長は「本来は傍聴席のところを、バーの中(法廷)と見なす」と説明した。

40名以上の被害者の氏名ほとんどが「記号」で呼ばれ、伏せられた。青沼潔裁判長は冒頭手続きで、個人の特定につながる情報を伏せる被害者特定事項秘匿制度を適用すると説明。殺人の被害者を「甲」、殺人未遂の被害者を「乙」、逮捕致傷の被害者を「丙」などとし、それぞれに「甲A」「甲B」などとアルファベットを割り当て、審理が進められる。【佐藤勝亮】

◆相模原障がい者施設殺傷事件 2016年7月26日未明、相模原市緑区の「津久井やまゆり園」で入所者19人が刃物で刺されて死亡、職員を含む26人が重軽傷を負う事件が発生。神奈川県警は元施設職員の植松聖被告を逮捕した。横浜地検は同9月から5カ月間の鑑定留置を実施し、完全責任能力が問えると判断。17年2月に殺人や殺人未遂などの罪で起訴した。被告は12年末から非常勤、翌13年4月から常勤職員としてやまゆり園に勤務。事件の約5カ月前には衆院議長公邸に事件計画の手紙を持参するなど、障がい者の存在を否定する考えを周囲に示していた。