植松被告19分退廷 被告不在で審理続く異例初公判

相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で16年に入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人罪などに問われた元職員植松聖被告(29)の裁判員裁判の初公判が8日、横浜地裁(青沼潔裁判長)で行われた。植松被告は謝罪の言葉を口にした後、体を激しく動かして暴れたため、取り押さえられ、開廷から19分で退廷を命じられた。起訴事実こそ認めたものの、その後は被告不在のまま審理が続く異例の初公判となった。

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植松被告は「皆様に深く、おわびいたします」と口にした直後、口元に手を持っていくようなそぶりを見せ、両肩がグッと上がると暴れ出した。4人の刑務官が左右を取り囲むと、植松被告はパーテーションで仕切られた傍聴席に座る、被害者参加制度を利用した遺族らの方に体を向け、突っ込むように動いた。

青沼裁判長が「やめなさい!」と大きな声で制したが、植松被告は刑務官4人を押し込むほどの勢いで暴れ続けた末、組み伏せられた。開廷から19分後の午前11時39分に一時休廷となり、植松被告に退廷が命じられた。横浜地裁は、退廷させた理由として「被告が小指をかみ切ろうとしたため」と明らかにした。

初公判は予定より20分遅れ、午前11時20分に開廷した。植松被告は黒のスーツ、白のシャツにネクタイを着けて入廷すると、早々に遺族の方に向かって一礼。傍聴席に向かっても左右にそれぞれ一礼して着席した。逮捕当時のような鋭い目つきはしておらず、顔色も白く、感情を表に出さない石像のような顔だった。

16年7月26日の逮捕時は短い金髪だったが、3年5カ月が経過したこの日は、腰骨の上くらいまで伸びた髪を束ねていた。毛先こそ逮捕時の名残からか金色が残っていたが、真っ黒だった。裁判長の認定質問に「植松聖です。無職です」と答え、「起訴状の事実に違っているところは?」と聞かれると「ありません」と答え、起訴内容を認めた。

午後1時15分に再開した公判の争点は、犯行当時の植松被告の、刑事責任能力の有無と程度だった。検察側は「意思疎通できない障がい者は、不幸を生むのでいらない。殺した方が良い」など、同被告の差別的な発言を挙げながら、監視の甘い夜間を狙い、職員を拘束し、意思疎通できないと身勝手に判断した入所者の首を刺すなど犯行は卑劣かつ計画的で、完全な責任能力があったと主張。弁護側は、同被告が大学入学時から危険ドラッグ、津久井やまゆり園で常勤で働き始めた13年から大麻を週4、5回、多い時は1日数回、使用したことで「大麻精神病で別人格になった」として、責任能力はないと主張した。

植松被告の不規則行動で裁判は予定が先送りとなり、証拠調べなどは今後の日程の中で審理する。判決は3月16日に言い渡される予定だ。【村上幸将】