岩波ホール7月閉館 ミニシアター先駆け74年から65カ国271作品上映

岩波ホール7月閉館 ミニシアター先駆け74年から65カ国271作品上映

岩波ホールのロビーに貼られた過去の上映作品のチラシ

ミニシアターの先駆けで日本の映画文化を担ってきた東京・神田神保町の「岩波ホール」が11日、7月29日をもって閉館すると発表した。「新型コロナの影響による急激な経営環境の変化を受け、これ以上の運営の継続は困難であると判断した」としている。

岩波ホールは1968年に多目的ホールとして開館。総支配人の高野悦子さん(2013年死去)が東宝東和の川喜多かしこさん(1993年死去)とともに「日本で上映されることの少ないアジア、アフリカ、中南米など欧米以外の国々の名作」「欧米の映画であっても大手興行会社が取り上げない名作」などの上映を目的に始めた「エキプ・ド・シネマ」(フランス語で「映画の仲間」)運動の拠点として、インド映画の「大樹のうた」を皮切りに、74年から世界65カ国、271作品を上映してきた。

「大いなる幻影」(76年)「家族の肖像」(78年)「旅芸人の記録」(79年)「山猫」(81年)「八月の鯨」(88年)「宋家の三姉妹」(98年)「山の郵便配達」(01年)「ハンナ・アーレント」(13年)などロングランとなった作品は多く、故黒木和雄監督の戦争レクイエム3部作「TOMORROW明日」「美しい夏キリシマ」「父と暮せば」も岩波ホールで上映された。日本で初めて各回完全入れ替え制を取り入れた映画館としても知られる。

全国のミニシアターでつくる「コミュニティシネマセンター」の岩崎ゆう子事務局長は「昨年、改装されたばかりで、まさかという思い。全国のミニシアターは耐えに耐えて継続している状況で、岩波ホールの閉館で連鎖的に広がらないか心配している」と話す。

「エキプ・ド・シネマの会」は11日をもって新規受け付けを終了する。6月4日から公開する「NOMAD」(原題)が最終上映作品になる。【中嶋文明】