聖火リレー 多治見・高木総監督「甲子園のよう」

聖火リレー 多治見・高木総監督「甲子園のよう」

岐阜・中津川市で聖火ランナーを務めた高木裕一氏(代表撮影)

東京五輪の聖火リレーは3日、岐阜県でスタートし、17年選抜高校野球大会(甲子園)に21世紀枠出場の多治見(岐阜)野球部監督を務めた高木裕一さん(58=現総監督)が、中津川市で聖火ランナーの大役を担った。当時の教え子らも沿道に駆けつけ応援。1日には、新型コロナ禍で2年ぶりの開催となったセンバツで「2年分の甲子園」を制した母校の東海大相模(神奈川)をネット裏で観戦。後輩にも刺激を受け、同様に1年延期となった「2年分の聖火リレー」に高校球界からの思いを込めた。

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トーチを持って走り出した景色に「甲子園の三塁側からグラウンドに入った時の感覚がよみがえってきました」。コロナで大声援は自粛だが、教え子を含めた県民が笑顔で手を振る応援は、甲子園のように感じた。「今年のセンバツも2年分の思いで球児がプレーした。聖火リレーも2年分の思いがある。1年延期で辞退せざるを得ないランナーの分まで、楽しく、気持ち良く走らせていただきました」と充実の表情だった。

17年センバツは、1回戦で報徳学園(兵庫)に0−21と大敗した。だが、アルプススタンドは甲子園過去最多のバス89台で集った、紫と白の約4000人の声援。98年に監督となり、部員不足も乗り越えてつかんだ甲子園。4年たった今も県民から感謝の言葉が届くことへの恩返しの聖火でもあった。

高木さんにとっても、激動の1年だった。昨夏限りで監督退任が決まっていた中、甲子園中止で目標を失った生徒に寄り添った。自身も高3夏、大会中に監督の不祥事で出場辞退を経験している。「高校生の時、夢をたたれた当事者だった。慰めの言葉を聞いても、切り替えられない。私も30年以上たって(監督として)甲子園に行かせていただいた。逆境をどう乗り越え、次の目標を持って取り組むことで違う世界につながることは伝えました」。昨秋からは総監督となった。

勤務していた多治見市役所を先月末限りで早期退職。翌、4月1日は甲子園球場のネット裏にいた。巨人菅野智之の父隆志さんら東海大相模の同期生と並んで、優勝の母校校歌を聞いた。門馬敬治監督の「2年分の春」の言葉や後輩の奮闘に、自身も力をもらった。

現役の高校野球指導者では唯一のランナーと聞いている。東京五輪で復活した野球は、24年パリ五輪では除外された。「野球は、甲子園、プロもあるけれど、オリンピックも目指すことが出来るような存在であってほしい。そんな願いも込めて野球界を代表する気持ちもあった」。次の夢へ向かう笑顔の走りだった。【鎌田直秀】

○…岐阜県恵那市のテーマパーク「日本大正村」村長を務める女優の竹下景子(67)が、中津川市の人気観光地「馬籠宿(まごめじゅく)」で第1走者を務めた。旧中山道の宿場町だった名所を快走し「桜の形のトーチが今の季節でにふさわしく、重みも感じました。馬籠宿は美しい山並みと石畳が続いているので、自分の足でつなぐんだということを、1歩1歩、感じることが出来た」と充実感に満ちていた。

◆3日の聖火リレー 東海地方最初となる岐阜県でつないだ。中津川市で女優の竹下景子からスタートし、多治見市で女優の鈴木ちなみ、郡上市で女優の紺野美沙子らが走った。今日4日も岐阜県内を巡り、各務原市にホッケー女子日本代表「さくらジャパン」、大垣市にお笑いコンビANZEN漫才みやぞんが登場。岐阜市では00年シドニー五輪女子マラソン金メダリスト高橋尚子さん、俳優の伊藤英明、元中日ドラゴンズで本紙プロ野球評論家の和田一浩氏らがランナーを務める。