弁護士が小4女児虐待の件で森田健作知事に再要望書

弁護士が小4女児虐待の件で森田健作知事に再要望書

子ども虐待死ゼロを目指すNPO法人シンクキッズ代表理事の後藤啓二弁護士

千葉県野田市立小4年の栗原心愛(みあ)さん(当時10)が1月に自宅浴室で死亡した虐待事件で、母なぎさ被告(32)の初公判から一夜明けた17日、元警察官僚でNPO法人シンクキッズ代表理事の後藤啓二弁護士(59)が、千葉県の森田健作知事と千葉市の熊谷俊人市長らに児童相談所と市町村、警察の情報共有と連携しての活動を求めた要望書を再提出した。同弁護士は、同趣旨の要望書を1月30日付で提出していた。

後藤弁護士は要望書の中で、心愛さんを救えなかった最大の原因として「児童相談所が案件を抱え込み、警察と連携して活動しなかったこと」を挙げた。その上で「公判で、凄惨(せいさん)極まりない、拷問というしかない虐待を心愛さんが受けていたことが明らかになりました。千葉県の児童相談所が案件を抱え込まず警察等他機関と情報共有し連携して活動さえしていれば、心愛さんを確実に救うことができ、心愛さんがかくも残酷に虐待死させられることはありませんでした」と怒りをにじませた。

3月27日には千葉県、千葉市と県警との間で情報共有に関する協定書が締結されたが、後藤弁護士は不十分だと指摘。「児童相談所から警察には一部の案件しか情報提供せず、相変わらず大部分の案件につき児童相談所は警察と情報共有も連携して子どもを守る活動も実施しないこととされています」と主張した。

さらに、千葉県の児童相談所が、心愛さんが性的虐待を受けていた疑いがあることを把握していながら、自宅に戻したことも判明した点を踏まえ「非常に危険な家庭であることを認識しながら心愛さんを自宅に戻していたわけで、ありえないほど虐待親の言いなりになり、子どもの安全を全く顧みない体質が顕著です」と厳しく批判した。

その上で、後藤弁護士は、早期に実現を希望する事項として以下の7点を挙げた。

<1>児童相談所は、把握しているすべての虐待案件について警察に情報を提供する。特に、親が面会拒否、転居して所在不明、通報先不明、子どもに傷(虐待によるものと判明していないものを含む)やネグレクト、性的虐待の疑いが認められる場合等子どもに危険が生じる恐れがある場合には直ちに警察に通報する。

<2>警察は、自ら把握した虐待案件及び前項により児相から提供を受けた虐待案件に係る情報を本部通信指令室のデータベース及び虐待家庭の所在地を管轄する警察署において登録し、虐待家庭に係る110番通報その他の情報提供がなされた場合、DV事案への対応、巡回連絡等の場合、家出・深夜徘徊(はいかい)の子どもを保護する場合などにおいて、対応する警察官が虐待家庭であることを念頭に子どもの安否確認・保護、親への指導支援など適切に対応できるよう措置する。

<3>市町村、学校は、所在不明の未就学児童、長期間欠席、不登校事案、健康診査未受診乳幼児について、関係部局間及び転出先の市町村、児童相談所との間で必ず情報共有を行うとともに、これらの子どもの所在を調査し、その安全を目視で確認しなければならない。保護者が面会拒否する場合など子どもの安全を目視で確認できない場合には速やかに警察に発見・保護を要請するものとする。

<4>児童相談所は、一時保護等を解除しようとする場合には、あらかじめ、事前に警察に連絡の上、必要な場合には警察の協力を得て、保護者と同居しまたは親密な関係にある者(以下「同居人」という。)の有無、保護者(同居人がいる場合には同居人を含む)の暴力的傾向の有無、生活状況等を調査し、子どもの安全が確保できるかどうか十分に調査しなければならない。

<5>児童相談所は、一時保護等を解除し、保護者に対して児童を引き渡す場合には、あらかじめ警察、市町村、子どもが在籍している保育園、学校、病院等と協議の上、子どもの安全確保計画を策定し、その後も関係機関が連携して適切な頻度で家庭訪問を行うなどして子どもの安全確保を図らなければならない。

<6>市町村に設置される要保護児童地域対策協議会の実務者レベルの会議に警察を構成員とし、その場で虐待案件につきもれなく部内関係各課及び警察、教育委員会を含む関係機関と情報共有を図った上、面会拒否、威嚇的言動、DVその他の暴力事案、同居男の出現、長期間欠席、健診未受診等の危険な兆候が見られた場合には直ちにその情報を関係機関で共有し、警察が直ちに家庭訪問し子どもの安否を確認し、けが・衰弱等が認められる場合には直ちに保護するという仕組みを整備する。また、その他の案件についても、事案の危険性に応じて関係機関が連携して適切な頻度で家庭訪問を行い、その状況も関係機関で共有する仕組みを整備する。

<7>児童相談所と市町村、警察等の関係機関は、連携して事案の危険度に応じて適切な頻度で家庭訪問し、常に情報を共有しつつ、子どもの安否確認と親への指導・支援を行うことにより、虐待の継続・エスカレートを防ぐ。

後藤弁護士は、森田知事面会して直接、要望したいものの実現していないとし「全く応じていただいておりません。早急に直接要望させていただく機会をお作りいただきますようお願いいたします」と要望した。

一方、要望書を受け取った千葉県児童家庭課の担当者は「3月に児相と警察との情報共有についての協定書を改訂し、全件共有には至っていないものの、情報共有の範囲を拡大などしている。いただいた要望書に関しては、これから組織的に情報共有し、検討させていただく」と答えた。