田辺聖子さんは「文学少女のまま大作家」母校も追悼

田辺聖子さんは「文学少女のまま大作家」母校も追悼

インタビューに応える大阪樟蔭女子大「田辺聖子文学館」の学芸員、住友元美さん(撮影・松浦隆司)

芥川賞作家で、文化勲章受章者の田辺聖子さんが6日、91歳で亡くなった。亡くなったことが明らかになった10日、田辺さんの母校、樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)では関係者が死を悼んだ。

大阪樟蔭女子大学(大阪府東大阪市)の図書館にある「田辺聖子文学館」は10日が同館の開館記念日。8日から開館12周年記念企画「田辺聖子の樟蔭時代」が始まったばかりだった。兵庫県伊丹市の田辺さんの自宅を何度か訪れたことのある学芸員の住友元美さん(49)は「文学少女のまま大作家になられた方でした。いつまでも元気に活躍されると思っていた」と悼んだ。

同文学館の壁一面には作品が展示され、自宅の書斎を再現したコーナーには、乙女チックな小物、ファンにはおなじみのスヌーピー「スヌーちゃん」のそっくりさんの特大ぬいぐるみがある。住友さんは「田辺さんは少女時代に戦争を体験した。キラキラした、かわいいものを身の回りに置けることが平和の象徴でもあるんです」と話した。

初めて自宅を訪ねたときのことをいまも鮮明に覚えている。田辺さんは特大のスヌーピーのぬいぐるみを「スヌーちゃん」と呼んでいた。「初めてお会いしたとき、名刺をくださった。お仕事用の文字だけの名刺と大好きなスヌーちゃんの描いた名刺があった。『あなたはこちらのほうがいいわね』とスヌーちゃんの名刺をいただいた。やさしくて、すてきな方でした」と懐かしそうに振り返った。

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田辺さんの母校・大阪樟蔭女子大の図書館内に07年6月に開館した「田辺聖子文学館」。関係者は、同館が未来の作家を磨く拠点になることを切望する。08年4月には表現力豊かな若い世代の育成を目指し、「田辺聖子文学館ジュニア文学賞」が創設された。全国から応募があり、今年も募集が始まった。同館には田辺さんが作品執筆のために集めた資料も展示される。

小説を書くことが好きだという同大の学芸学部2年生の竹村花音さん(19)は「すてきな作品が多い。文学館で作品を手に取って参考にさせていただいています」と話した。

大阪樟蔭女子大の北尾悟学長は、田辺さんのパートナー、故川野純夫さんの愛称を引用し「天国で『カモカのおっちゃん』と安らかな時を過ごされることをお祈りする」とのコメントを出した。