警官が1200万円だまし取る、特殊詐欺対策を悪用

特殊詐欺対策の一環で知り得た情報を悪用し、高齢男性から現金1180万円をだまし取ったとして、京都府警捜査2課は15日、詐欺の疑いで、山科署の巡査長高橋龍嗣容疑者(38=京都市)を逮捕した。警察庁は特殊詐欺被害が疑われる場合、通報するように金融機関に呼び掛け、被害を水際で阻止してきたが、有効策が悪用された形だ。

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逮捕容疑は昨年11月、「現金を預かって保管する」などとうそを言い、京都市伏見区の無職男性(78)から2回にわたり、計1180万円をだまし取った疑い。高橋容疑者は「お金を借りて受け取った」と受領は認めているが「お金の貸し借りであって、だまし取るようなことはしていない」と一部否認している。捜査2課では、だまし取った金は主に投資資金として使用していたとみている。

捜査関係者によると、高橋容疑者は当時、伏見署管内の交番に勤務。昨年11月8日、男性が金融機関で高額の現金を引き出そうとしたところ、特殊詐欺被害を疑った金融機関が通報し、容疑者は上司の巡査部長と2人で急行した。男性は2人の説得で出金を取りやめたが、「自宅に500万円ある」と話したことから、容疑者と巡査部長は男性の自宅に同行し、現金500万円を確認。2人は男性に「預金をするように」と勧め、引き上げた。その後、容疑者は同日中に1人で男性に再び接触。「お金を預かって保管してあげます」と言い、500万円をだまし取ったという。

さらに1週間後には、高橋容疑者が勤務時間外に私服で男性の自宅を再び訪問。「(引き出そうとしていた)680万円も同じように預かって、保管してあげます」と話したことから、男性は金融機関で680万円を引き出し、渡した。容疑者はその前日、金融機関に肩書を名乗って電話。「(男性が)どうしても680万円をおろしたいと言っているので、出金手続きを進めてほしい」と伝えていた。金融機関は伏見署に在籍確認した上で、出金に応じたという。

捜査関係者によると、高橋容疑者と男性は何回か連絡を取り合っていたが、容疑者が今年3月に山科署に異動。男性が4月、「連絡が取れない」と伏見署に相談したことで事件が発覚した。

高額の現金引き出しや振り込みなどで特殊詐欺被害が疑われる場合、金融機関の通報で警察官が出金理由などを確認することが、水際で被害を食い止める有効策とされる。警察庁などによると、18年に水際で阻止された金額は全国で約143億円、京都府内では3億8967万円だった。

▽京都府警の姫野敦秀首席監察官 府民の信頼を損ねるもので、言語道断。厳正に対処する。