「素直にうれしい」有観客 五輪“プラチナチケット”手に宮城スタジアム

「素直にうれしい」有観客 五輪“プラチナチケット”手に宮城スタジアム

出場各国の手作り国旗を持って仙台駅から宮城スタジアムにシャトルバスで出発する3世代家族(撮影・鎌田直秀)

新型コロナウイルス感染拡大によって1年延期された東京五輪は21日、いよいよ競技がスタートした。日刊スポーツ社会面では「パンデミック下の祭典」と題し、東京五輪をめぐる話題をお届けします。女子サッカーの中国−ブラジル戦など2試合が行われたキューアンドエースタジアムみやぎ(宮城県利府町)では、今大会初の有観客開催。感染防止対策をしたうえで、貴重な観戦チケットを手にした観客が57年ぶりの東京五輪を目に焼き付けた。

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生で観戦出来るのは、全体の約3・5%のみ。ほとんどの会場が無観客となった中、“プラチナチケット”を手にした観客たちは、足どりも軽やかだった。

仙台駅東口からシャトルバスに乗った仙台市在住の祖母、父母、長男の4人は、家族3世代での観戦実現に胸躍らせた。77歳の祖母は「孫とオリンピックを観戦出来るなんて最高。冥土の土産になります」と笑顔。父も「3世代で見られることも、息子も覚えていてくれるかは分からないけれど、すごい経験になる」と喜んだ。この日に出場する4カ国の旗を作った母は「ザンビアが難しかったけれど、上出来」。中国、ブラジル、オランダの国旗も手に、3歳園児も「サッカーは蹴るんだよ。応援する」とバスに乗り込んだ。

一方で、仙台市在住の夫婦は「まだワクチンの2回目を打っていないので心配な部分もある。でも五輪は2度と見られないと思うし。一生懸命やっている選手には本当に頑張ってほしい」。福島県郡山市から来た50代男性も「飲食店の友人が苦しんでいるので、自分が観戦出来たことはうれしいけれど、みんなに行ってきたよ〜と言えない後ろめたさもある」と複雑な心境も明かした。バスは検温、消毒などを徹底。「直帰」ボードを持つスタッフは、観戦後の自宅やホテルへの直帰も呼び掛けていた。

宮城県の村井嘉浩知事(60)が、仙台市長、県や市の医師会などの反対を受けても有観客を決断した。試合も視察し「大きな拍手に胸が熱くなりました。この場所は、体育館にたくさんのご遺体を安置した場所でもある。震災から復興した姿を世界の皆様に知っていただき、我々の感謝する気持ちを世界に伝えるオリンピックにしたいと考えています」。感染防止対策も「完璧」と強調。観客は約6000人予定も、キャンセルもあって約3000人程度だった。「クラスターが発生することはないと思う」。あらためて残り5日間も有観客開催の意向を示した。【鎌田直秀】