まるで“プラチナチケット”「あまりにも少なすぎ」ほぼ無観客な有観客開催

まるで“プラチナチケット”「あまりにも少なすぎ」ほぼ無観客な有観客開催

出場各国の手作り国旗を持って仙台駅から宮城スタジアムにシャトルバスで出発する3世代家族(撮影・鎌田直秀)

新型コロナウイルス感染拡大によって1年延期された東京五輪は21日、いよいよ競技がスタートした。日刊スポーツ社会面では「パンデミック下の祭典」と題し、東京五輪をめぐる話題をお届けします。女子サッカーの中国−ブラジル戦など2試合が行われた宮城スタジアム(宮城県利府町)では、今大会初の有観客開催。感染防止対策をしたうえで、貴重な観戦チケットを手にした観客が57年ぶりの東京五輪を目に焼き付けた。

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生で観戦出来るのは、全体の約3・5%のみ。ほとんどが無観客となった中での“プラチナチケット”だった。販売枚数は約6000枚だったが、キャンセルも相次ぎ約3000人の有観客初日。ソーシャルディスタンスどころか、マスクを外しても問題ないようなガラガラ状態。山形県から来た30代男性は「あまりにも少なすぎてVIPが見に来ているような感じだったし、拍手もまばらで…」。観戦の醍醐味(だいごみ)を味わうには消化不良な様子だった。なでしこジャパンが登場する27日以外は「(上限まで)当日券を販売しても良いのでは」の提案まで飛び出した。

栃木県在住の30代男性も「57年ぶりの東京を観戦出来たことは良かった。でも、もう少し帰りのバスを増やしてくれればありがたい」。宮城県内6カ所発着の無料シャトルバスは、行きは本数が多いが、帰路の不便さに課題を指摘した。

だが、有観客には喜びも当然あった。仙台市在住の親子3世代で観戦した4人には笑顔があふれた。77歳の祖母は「孫とオリンピック観戦なんて最高。冥土の土産になります」。応援用に4カ国の旗を作った母は「ザンビアが難しかったけれど、上出来」。3歳園児も「サッカーは蹴るんだよ」と左足を振ってみせた。

宮城県の村井嘉浩知事(60)が、仙台市長、県や市の医師会などの反論を受けても有観客を決断した。試合も視察し「この場所は、体育館にたくさんのご遺体を安置した場所でもある。震災から復興した姿を世界の皆様に知っていただき、我々の感謝する気持ちを世界に伝えるオリンピックにしたいと考えています」。バスは検温、消毒などを徹底。「直帰」ボードを持つ係員は、観戦後の自宅やホテルへの直帰も呼び掛けた。仙台市内の飲食店は、この日から午後9時までの営業時間短縮を要請されている。感染防止対策も「完璧」と強調し、あらためて残り5日間も有観客開催の意向を示した。【鎌田直秀】