今や壇蜜が物マネ、カーラジオから交通情報 どんな人がどんな風に情報を?

今や壇蜜が物マネ、カーラジオから交通情報 どんな人がどんな風に情報を?

警視庁交通管制センターを紹介する郡山裕子さん(撮影・河野匠)

<オトナのラジオ暮らし>

カーラジオからきこえる交通情報。声はすれども姿は見えず。さて、どんな人が、どんなふうに伝えてるの? というわけで、交通情報のあれこれは、この人に聞いてみよう。「警視庁の郡山さ〜ん」。

      ◇     ◇

はい、お伝えします。

文化放送で警視庁の交通管制センターから交通情報を担当している郡山裕子(こおりやま・ゆうこ)です。警察官か警察職員だと思われている方もいるようですが、違うんです。文化放送専属の交通キャスターです。1999年(平11)からずっと。もう23年になります。

学生時代は、企業のPRビデオや大型イベントでナレーションのアルバイトをしてました。当時、日本経済は絶好調。企業も余裕があったのでしょう。アルバイトの女子大生だった私にも、アナウンスやビジネスマナーの研修を受けさせてくれた。いい時代でしたね。

卒業後は一般企業に就職しました。でも、あまりやりがいを感じられなくて…。そこにアルバイトのころに知り合った広告会社の方から「しゃべる仕事があるよ」と声をかけられて、フリーで仕事を始めました。その後、文化放送の交通情報で欠員が出たとかで「すぐにできる人」と、紹介されたのがきっかけでした。最初は埼玉県警を担当しました。

今年の春、タレントの壇蜜さんが、午後の番組(大竹まこと ゴールデンラジオ!)で私の物まねを披露してくれたんです。聴きましたよ、もちろん。「私って、こんな感じなんだ」とびっくりしました。私には、独特の間があるみたいです。私生活で気づかれることはないですね。経済評論家の方の講演会で著書にサインをもらった時、「名前を入れましょうか」と聞かれて小さな声で告げると「えっ! あの郡山さん?」とびっくりされたことはありました。

交通情報が流れる時間は、だいたい決まっているので、そろそろかな、と思うころにラジオ局から「行きます」と電話が入る。放送ブース内のモニターで交通状況を把握して、地名の読み方などを地図で確認、他県警に電話取材もします。3畳ほどの狭いブースをキャスター付きのいすを滑らせて行ったり来たりして、マイクに向かいます。原稿を書いていると間に合わないので、モニターを見ながら「甲州街道下りは−」なんてしゃべってます。

持ち時間はだいたい1分ですが、スタジオのトークが長引いたりすると「40秒で」といったこともある。情報が多い時は、とにかく時間がもったいないので、スタジオからの呼びかけに、かぶせ気味にしゃべり出すこともあります。

気をつけているのは、ドライバーさんが求めている情報を伝える、ということです。ドライバーさんは自分が走っている路線名はわかっているので、方向が大切です。例えば「首都高速4号線下り」は「下り」を強めに発声します。

23区内を広く周回する環状7号(環七)は「足立区内の環七」「世田谷区内の−」と地名を先に言います。トラックやタンクローリーのような大型車の事故は、乗用車の事故より処理が長引くことも多いから、渋滞、混雑の判断材料になる車種は必ず入れます。

人身事故も調べや規制に時間がかかるので優先的に伝えます。長年の勘で、京葉道路が混み始めると、並行する国道14号も混んでくるだろうとか、事故処理は終わったけど、影響が長く残りそうだといったことも、だいたい分かりますね。

最近は、ドライバーの方から「ここが混んでるよ」「事故があったよ」といった情報が、番組のツイッターに書き込まれるようになりました。この情報を警察の方に調べてもらって放送に乗せることもあります。カーナビの普及で、今は道路の状況が手元で分かる。それでも変わらずラジオの交通情報を聴いてくださってる。ありがたいです。

限られた時間内に最新の情報をできるだけ多く、早く、正しくお伝えするのが、私たちの仕事です。これからもリスナーのみなさんに役に立つ交通情報を心がけたいと思ってます。

警視庁からお伝えしました。【聞き手=秋山惣一郎】

<警視庁交通管制センター見下ろす形に各局ブース>

東京都内の交通情報の多くは、港区の警視庁交通管制センターから伝えられている。センターの管制室には、都内全域の一般道、高速道の交通状況を示す道路図のほか、各所に設置されたカメラの映像、事故件数や交通量に関する文字情報などが大型ビジョン(縦5メートル横25メートル)に映し出されている。2010年(平22)に完成した、世界有数の交通管制システムだという。一般の見学も受け付けている(見学の可否や詳細は警視庁のホームページ参照)。

ラジオ各局の放送ブースは、ガラス越しに管制室を見下ろす形で、ワンフロア上に設けられている。ブース内のモニターで、管制室のビジョンに映る情報を確認できる。随時、規制解除などの音声アナウンスが流れるほか、110番通報をもとにした事故などの手書きのメモも入る。

交通状況に影響する可能性があるデモやプロ野球、コンサートの開催予定、規制や工事の終点起点など、交通に影響がありそうなさまざまな情報が広報される。

文化放送の担当者は3人。平日午前6時からお昼までの早番と午後1時から同9時ぐらいまでの遅番の2交代勤務。オンエアは早番、遅番各11回。警視庁にはかつて各局とも専属交通キャスターを配置していたが、現在は文化放送とTBSラジオだけとなっている。

◆交通情報は、日本道路交通情報センター(本部・東京、JARTIC)からも放送している。1970年(昭45)設立の公益財団法人。全国の警察や都道府県など133拠点に職員約500人を配置している。首都圏では東京の九段センターのほかに、警視庁や首都高速、千葉、埼玉、神奈川各県警にも拠点がある。

昨年度、NHKと民放ラジオ局103社で放送した交通情報は、約28万1000回にのぼるという。警視庁に専属を置く在京局も首都圏3県警の情報は、JARTICが担当する場合がある。

九段センターには19人の放送担当者がいる。11年目の岩澤里恵さんは「NHKや民放局で、主に関東地方の情報を伝えています。いつかは地元の千葉センターから、子供のころから聴いていたベイエフエムの交通情報を担当してみたいです」と話している。