藤井聡太王位、史上最年少3冠なるか 先手番をどちらが引くか注目

藤井聡太王位、史上最年少3冠なるか 先手番をどちらが引くか注目

藤井聡太王位(右)と豊島将之竜王(2021年6月28日撮影)

将棋の藤井聡太王位(棋聖=19)が史上最年少3冠を狙う、第6期叡王戦5番勝負の最終第5局が13日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われる。

挑戦者の藤井が勝てば初の叡王奪取とともに、19歳2カ月弱での3冠となる。初防衛を目指す豊島将之叡王(竜王=31)との対局は第1、3局を藤井、第2、4局を豊島がそれぞれ先手番で制している。第5局は先後を改めて振り駒で決める。トップレベルの対局では、わずかなリードを生かせるために有利とされる先手番をどちらが引くか注目だ。

通算238勝45敗(勝率8割4分1厘)、本年度も25勝5敗(同8割3分3厘)と圧倒的勝率を誇る藤井にとって、タイトル戦の最終局は初めて。18年の新人王戦3番勝負、今年の竜王戦挑戦者決定戦3番勝負も連勝であっさりクリアしている。未経験の決着局独特の重圧をはねのけられれば、戦後では例のないタイトル戦5連覇を達成できる。

対する豊島は14年の王座戦5番勝負(相手は羽生善治王座=当時)と、19年王位戦7番勝負(同木村一基九段)こそ敗れたが、18年の棋聖戦5番勝負(羽生棋聖)と同年王位戦(菅井竜也王位)を制して立て続けにタイトルを奪取。昨年まで7番勝負だった叡王戦最終局でも、永瀬拓矢叡王を下してタイトルを奪っている。タイトル戦登場15回の経験を生かしたい。

両者は6月29日に開幕した王位戦7番勝負でも激突。第1局を挑戦者の豊島が制した後は藤井が4連勝して防衛している。この時、叡王戦第5局について「第4局が完敗という形になってしまったので、悔いのない将棋を指せればと思っています」とコメントした。豊島は同じ王位戦第5局終了後、藤井は「叡王戦でまた頑張りたい」と話した。どこまで立て直してくれるか。

叡王戦終了後は、竜王戦7番勝負でも豊島に藤井が挑戦する。令和の将棋界の今後を占う大一番から目が離せない。【赤塚辰浩】

◆振り駒 将棋で先手後手を決める方法。タイトル戦の場合、開幕局と最終局が振り駒となる。記録係が行う。盤上に並べられた上座(叡王戦の場合はタイトルホルダーの豊島。普通は段位が上の人、同じ段位の対局ならタイトル獲得経験者とか、先にプロデビューした人や年長者)の歩を5枚取り、手のひらの中でよく振り混ぜて畳の上に敷いた白布などに軽く落とす。歩の枚数が多ければ上座(豊島)の先手、と金の枚数が多ければ下座(藤井)の先手となる。振った駒が重なったり、立った場合は残りの駒で決める。同数になった場合は再度行う。

◆叡王(えいおう)戦 将棋の8大タイトル戦の1つ。タイトル序列は竜王、名人、王位、王座、棋王に次いで6番目(以下王将、棋聖)。2015年(平27)に一般棋戦として第1期を開催。第3期以降、王座戦以来34年ぶりにタイトル戦に昇格した。タイトル獲得者は高見泰地、永瀬拓矢、豊島将之、藤井聡太と毎回交代している。段位別予選を行って本戦進出者を決め、16人による勝ち抜き戦で挑戦者を決める。今期から不二家が主催に加わった。両対局者に午前10時と午後3時におやつを提供し、「糖分補給」をアシストしている。

【叡王戦 対局VTR】

◆第1局(7月25日、東京都千代田区「江戸総鎮守 神田明神」) 角換わりから午後5時すぎまで、じっと戦機をうかがう展開に。一転、攻め合いになって抜け出した先手藤井が95手で先勝。初挑戦での獲得に好スタートを切った。

◆第2局(8月3日、山梨県甲府市「常磐ホテル」) 同じ角換わりでもねじり合いに。藤井が先にペースを握ったかにみえたが、手を尽くした先手豊島が逆転。相手の14手連続王手を振り切って161手の激戦を制し、タイに。

◆第3局(8月9日、名古屋市「か茂免」) 角換わり腰掛け銀から正午の昼食休憩までに71手も進むハイペース。激しい寄せ合いの末、詰みを読み切った先手の藤井が121手で勝ち、初の叡王獲得と最年少3冠に王手。

◆第4局(8月22日、名古屋市「名古屋東急ホテル」) かど番の先手豊島が相掛かりから先手7九金(41)と自陣を締め、9三に跳ねた藤井の桂を重荷にしながら、7〜9筋を制圧。攻撃の手を緩めず91手で快勝し、2勝2敗のタイに追いついた。