「終わった」将棋界が藤井3冠快進撃でV字回復、新スポンサー続々名乗り

「終わった」将棋界が藤井3冠快進撃でV字回復、新スポンサー続々名乗り

史上初の10代3冠を達成した藤井新叡王は、色紙を掲げる(撮影・中島郁夫)

将棋の藤井聡太王位(棋聖=19)が13日、史上最年少3冠を達成した。タイトルを次々に獲得し、新風を吹き込む19歳。長らくスター棋士が出ていなかった将棋界に登場したスーパースターの快進撃は、将棋界に活況をもたらしている。令和時代の全8冠の同時制覇という偉業への期待がかかる。

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藤井の新たな偉業が、活況にわく将棋界をさらに勢いづかせる。日本将棋連盟関係者は「棋戦などに共催、協賛していただける企業が確実に増えています」。1人のスーパースター登場で飲料メーカーなど、協賛社が続々と手を挙げ、東西オールスター戦など新しい棋戦が誕生した。

今期から叡王戦の主催となった菓子製造販売の不二家は、メディア以外の企業が将棋のタイトル戦を主催した初めてのケースだった。同社は棋士が対局中にチョコレートなどお菓子を口にすることに注目。「頭脳の格闘技」と言われる将棋に糖分補給は欠かせないという観点から「お菓子で棋士を応援したい」と共催を決めた。この日の大一番で藤井が午前のおやつに注文したカップケーキ「コロコロしばちゃん」(410円)はツイッターなどSNSで話題になり、トレンドワードで急上昇した。

棋戦を初主催した効果について「将棋ファンの方からも弊社を応援したいという言葉をたくさんいただいています」と広報担当者。“藤井効果”は計り知れない。

かつて「将棋界は終わった」と言われた時代もあった。2010年代に入り、コンピューターの将棋ソフトが飛躍的に実力をつけ、10年代後半には人工知能(AI)はトップ棋士よりもはるかに強くなった。16年10月以降、トップ棋士の将棋ソフト不正使用疑惑騒動でも揺れた。

そんな「冬の時代」に登場したのが藤井だった。17年6月、公式戦29連勝の新記録を達成。その後も数々の最年少記録を打ち立て続け、注目度はアップ。V字回復を果たした。日本将棋連盟の関係者は「違う業種へのアプローチがしやすくなり、新たなスポンサー獲得がしやすくなった」と話す。

96年に羽生善治九段(50)が棋界初の7冠独占を達成した時以来の活況にわく。藤井には令和時代に全8冠の同時制覇の期待がかかる。以前、藤井は令和への強い思いを口にした。「平成の30年間を第一線で活躍された羽生先生のようには難しいが、自分も実力を付けて新しい時代に長く活躍できるようにしたい」。将棋界に強烈な追い風が吹いている。【松浦隆司、赤塚辰浩】