「ケロリン桶酒」はNG、製薬会社が飲食店など注意

「ケロリン桶酒」はNG、製薬会社が飲食店など注意

"ケロリン桶飲酒NG"注意喚起

「ケロリン桶酒」はNG、製薬会社が飲食店など注意

「ケロリン桶」のA型(関東)(左)とB型(関西)(富山めぐみ製薬提供)

鎮痛薬「ケロリン」で知られる、富山めぐみ製薬が15日、公式サイトで、全国の銭湯などで利用されている、ケロリンの商品名が入った風呂おけが、複数の飲食店で食器や酒を提供する器として利用されており、通常の食器に差し替えるよう注意喚起した。

インターネット上では、2年ほど前からケロリン桶に酒を入れて客に提供し、その様子を客がツイッターやインスタグラムにアップすることが横行しているという。同社は「ケロリン桶は食品衛生法上の食器ではないため、各種規格適合、溶出試験を行っておらず、食器として利用する際の安全性が担保できません」とした。その上で「利用されている店舗様、企業様におかれましては、速やかに食品衛生法上の食器に差し替えていただけますよう、よろしくお願い申し上げます」と要請。「なお、既にご連絡差し上げている店舗様につきましては、重ねてのご案内となりますこと、ご容赦くださいませ」と、一部の店舗に注意喚起を行っていることを明らかにした。

ケロリン桶は、銭湯で子供が蹴飛ばしても、腰掛けとして使われても大丈夫なほど頑丈で、「永久桶」とも呼ばれる。素材はポリプロピレンで、「ケロリン」のロゴなどの広告は、たわしで洗うなどしても落ちないよう、インクを樹脂の内部に埋め込む「キクプリント」という特殊技術で印刷されている。

とはいえ、あくまでも用途は風呂おけであり、食品衛生法第15、16条が想定する食器ではない。富山めぐみ製薬東京支社の北村学さんは「(おけの中に入れた飲食物の)温度が高いと、劣化し、ひびが入ったらインクのかけらが出てくる可能性がある」と指摘した。

現役の管理薬剤師でもある北村さんは「うちは薬品メーカー。100万個作って、1個ダメでもNGというクオリティーで薬を作っています。食品という口に入れるものの容器に使った場合、安全性は担保できない」と警鐘を鳴らす。

富山めぐみ製薬では、約2年前に一部の店舗で、インスタ映えすると評判になっているのを確認した。それ以降“ケロリン桶酒”をウリとしてメニューに入れる店舗が全国で増加していることを憂慮し、各店舗に個別に注意喚起を行ってきた。並行して飲食店検索&情報サイトにも、ケロリン桶を使ったメニュー、写真を掲出しないよう呼び掛けてきた。ただ、注意喚起に応じない飲食店もあり「インスタ映えすれば何でもいいという形で、止められないので、会社として注意喚起しました」(北村さん)と、社としての注意喚起に踏み切った。

北村さんは「コロナ禍の中、ああいう容器を使って飲食することは感染リスクを高めます」と声を大にした。【村上幸将】

◆ケロリン桶 富山めぐみ製薬の前身・内外薬品が、東京オリンピック前年の1963年(昭38)、衛生上の問題から、銭湯の湯桶が木から合成樹脂に切り替えられるタイミングに、風呂おけに広告を入れないかと持ち掛けられたことをきっかけに誕生。東京駅八重洲口の東京温泉に最初に設置し、全国の銭湯、温泉、ゴルフ場などの浴室へと波及し、これまでに延べ250万個も納入。現在も年4、5万個のペースで納入が続けられている。30年ほど前から、東急ハンズなど店舗を限定し、一般にも販売されてきた。桶には重さ360グラム、直径225ミリ、高さ115ミリの「A型(関東)」と、入浴前に湯船から湯を汲み、体にかける関西の人の指向に合うよう、重さ260グラム、直径210ミリ、高さ100ミリの「B型(関西)」の2つがある。