独特の存在感「クイズ!脳ベルSHOW」シニアに特化し長寿番組に

独特の存在感「クイズ!脳ベルSHOW」シニアに特化し長寿番組に

15日の解答者。左から芦川誠、一色采子、島田洋八、瀬川瑛子

<ニュースの教科書>

9月にテレビ朝日系の長寿クイズ番組「パネルクイズ アタック25」が、46年5カ月(放送回数2280回)の歴史に幕を下ろした。時代とともにクイズ番組のスタイルは変遷し、今は教養系が人気だ。そんな中、シニア層をターゲットにしたBSフジの「クイズ!脳ベルSHOW」が放送回数1300回を超え、独特の存在感を示している。クイズ番組の歴史とともに紹介する。

時代の流れでクイズ番組も変わる。今は「東大」や「小学生」がキーワードの番組が人気だ。そんな中、高齢化社会を反映して「シニア」をキーワードに異彩を放つクイズ番組がある。15年10月から放送が始まったBSフジ「クイズ!脳ベルSHOW」(月〜金曜午後10時)である。

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脳活性化クイズバラエティー番組を自任し、コンセプトは「年老いていく脳に警鐘を鳴らす」。10月18日の放送で1300回を迎えた。帯番組でペースは当然速いが、クイズの帯番組が今は他にないことを考えれば、すごい数字だ。

BS放送(衛星を利用した放送)の視聴年齢は、地上波よりも高いという。40代が入り口で、60代を中心に70代以上も視聴層だ。番組が始まる15年当時、BS各局にクイズ番組はなく「シニア向けのクイズ番組を」とスタートした。演出の丸林徳昭氏(48)は「解答者も40代以上にして、前半が脳トレ系、後半が懐かし系のクイズ。大きな流れは変わっていません」。

4人の解答者が問題に答えるシンプルな形式だが、解答者の顔触れが各回すごい。かつてのアイドル歌手やお笑い芸人、格闘家など一世を風靡(ふうび)した人ばかりだ。今日15日の解答者は俳優の芦川誠(61)と一色采子(63)B&Bの島田洋八(70)歌手の瀬川瑛子(74)。丸林氏は「むちゃくちゃ人気があったけど、今はあまり(表に)出ていないという方は結構います。でも(BSの)視聴層には今も変わらずスターなんです」。放送1300回で延べ3000人以上が出演した。出演時の最高齢は92歳の尺八漫談家はたのぼる(現94)だった。

問題は「ひらめき・記憶・瞬発力・発想」の4ジャンルから出題される。難問はなく、人生経験を生かせる問題ばかりだ。丸林氏は「イントロなど昭和のクイズの雰囲気やパロディーに、なぞなぞや神経衰弱にすごろくとかつてシニア世代が楽しんだ要素も取り入れています」。

司会の岡田圭右(52、ますだおかだ)とアシスタントの川野良子アナウンサーの存在も大きい。クイズ慣れしていない解答者も多くハプニングも起きるが、岡田の絶妙のアドリブと川野アナとの掛け合いで巧みに進行する。「2人の相性がすごくいい。岡田さんは解答者への尊敬の念をちゃんと出せる方で、その点も素晴らしい」(丸林氏)。

BSの特性を生かした帯番組である。普通、テレビを付けると地上波になっている。BS各局は昨年末に開局20周年を迎えたが、まだ「選択視聴のチャンネル」という。選択してもらうためには、他局より特化した番組でシニア層の習慣性に合致することが大切という。「ニュースを見て、脳トレで笑って寝る」。番組の面白さはもちろん、高齢化社会に、この習慣性を確立できたことが成功の秘訣(ひけつ)だろう。

◆BSフジ「クイズ!脳ベルSHOW」 タイトルはノーベル賞に由来。解答者4人が月曜と火曜、別の4人が水曜と木曜に競い、上位2人が金曜の週間チャンピオン大会に進出する。予選は「能みそフル回転」「言われてみれば」「早押しペアパネル」「その時どうした?」の各コーナーで競う。正解者には得点(30ノーベルなどと表現)が与えられる。週間チャンピオン大会は、最後の大逆転もあるコーナー「すごろく大逆転」で勝者が決まる。賞品はお米。高齢者の早起きの習慣を意識して、地上波のフジテレビで午前4時から再放送している。番組と連動した本「50日間 脳活ドリル」(扶桑社ムック)は第8弾が発売中。累計15万部と人気だ。

【クイズ番組の歴史】

日本のテレビ初のクイズ番組は、53年(昭28)に始まったNHK「私の仕事はなんでしょう」だった。初期のクイズ番組はテレビの普及とともに成長した。「消費動向調査」(内閣府)によると、白黒テレビの世帯普及率が50%を超えたのは61年(62・5%)で、この年からクイズ番組は急速に増えていく。

▼夢の電化製品    

60年代前半は「三種の神器」(白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫)があこがれだった。白黒テレビの世帯普及率が50%を超えた61年の洗濯機は50・3%。冷蔵庫はまだ17・2%だった。フジテレビ系で同年8月開始で視聴者が出場する「ズバリ!当てましょう」や、63年開始のテレビ朝日系「がっちり買いまショウ」は、そうした時代を反映した。

▼夢の海外旅行    

日本人の海外渡航は64年4月1日に制限付きで自由化されたが、代金は庶民には超高額だった。そんな中、63年から始まったのがTBS系「アップダウンクイズ」。10問正解でハワイ旅行だった。77年開始の日本テレビ系「アメリカ横断ウルトラクイズ」は、クイズを海外で行う破格のスケールで人気を博した。

▼カラー時代     

前出調査によると、75年にカラーテレビの世帯普及率が90%を超えた。この年に始まったのが「パネルクイズ アタック25」。パネルに赤・緑・白・青の色を使った。まだ白黒テレビの視聴世帯も多く反対もあったが、カラーテレビ100%時代を先取りした。

▼司会力       

70年前後から司会者に著名人を起用した。69年開始のテレビ朝日系「クイズタイムショック」の初期は俳優の田宮二郎さん。76年からのTBS系「クイズダービー」は大橋巨泉さん。同系「ぴったしカン・カン」は久米宏。同系「クイズ100人に聞きました」は関口宏。81年開始のNHK総合「クイズ面白ゼミナール」は鈴木健二アナウンサー。00年からのフジテレビ系「クイズ$ミリオネア」はみのもんたが司会で、「ファイナルアンサー!?」が流行語になった。

▼紀行クイズ番組   

バブルへ向かう80年代は、海外旅行気分を味わえる番組が増えた。81年開始のフジテレビ系「なるほど!ザ・ワールド」(司会・愛川欽也さん)や、83年開始のTBS系「世界まるごとHOWマッチ」(司会・大橋巨泉さん)。86年からの同系「日立 世界ふしぎ発見!」(司会・草野仁)は今も続く長寿番組だ。

▼タレント主役    

90年代以降、タレントだけの番組が主流となった。北野武と逸見政孝さんで91年にスタートしたフジテレビ系「たけし・逸見の平成教育委員会」。島田紳助さんが司会の同系「クイズ!ヘキサゴン」(02年から)も総タレントだった。現在の人気番組のフジテレビ系「ネプリーグ」もタレントの対抗戦形式。

▼小学生から東大生  

クイズ番組はどれもためになる。最近は学校で習う内容が問題の教養系が人気だ。日本テレビ系「クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?」や、TBS系「東大王」が代表格。

◆笹森文彦(ささもり・ふみひこ)北海道札幌市生まれ。83年入社。クイズ番組はよく見た。特に記憶に残っているのはテレビ朝日系で64年から74年まで放送されていた「ダイビングクイズ」。解答者が軍手をはいて滑り台に乗り、クイズに答える。誤答などで段階的に滑り台が上がって行き、耐えきれず滑り落ちると負け。子ども心に、なぜかセクシーだった記憶が残っている。血液型A。