伊藤詩織さん誹謗中傷漫画で「他人が怖くなった」

伊藤詩織さん誹謗中傷漫画で「他人が怖くなった」

第1回口頭弁論後、取材に応じた伊藤詩織さん(撮影・村上幸将)

ジャーナリストの伊藤詩織さん(31)が、ツイッター上で事実に基づかない誹謗(ひぼう)中傷の投稿で精神的苦痛を受けたとして、漫画家はすみとしここと蓮見都志子氏を含む3人に損害賠償などを求めた訴訟の、第1回口頭弁論が17日、東京地裁で開かれた。

伊藤さんは意見陳述を行った。その中で「私は自分の被害をあざ笑うようなイラストを見た日の朝のことを、今でも忘れられません。そのイラストは私の魂を深く傷つけました。その日、ベッドから起き上がることが出来なくなりました」

「蓮見さんの描いたイラストは、ネット上で瞬く間に拡散されました。どうして私の被害を笑い、シェアすることが出来るのか、私は他人が怖くなりました。イラストが拡散されていく様子を思い浮かべると、外に出ること、街を歩くことに大変な苦痛を覚えるようになりました。外に出る時は、帽子をかぶってサングラスをかけ、常に周囲を警戒するようになりました」

「この社会には、性被害の被害者を、セカンドレイプとも言える言動で攻撃する人、インターネット上でセカンドレイプの拡散に加担する人が大勢います。私は、私自身が前に進むために、そして私と同じ被害に苦しんでいる多くの人たちのために、この裁判を始めました」

などと訴えた。

訴状によると、蓮見氏は、伊藤さんはが15年に元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(54)と会食後、意識を失い性的暴行を受けたと主張し、準強姦(ごうかん)容疑で被害届を提出も、東京地検が16年に嫌疑不十分で不起訴としたことに対し、18年2月に漫画を投稿。「枕営業大失敗!!」との文言とともに、「山口」と書かれたTシャツを着た、髪形や目の大きさなどが伊藤さんに酷似した女性と、伊藤さんの17年の著書「Black Box」をもじったと思われる「CLAP BOX」なる書を手にした男性を描いた。

また、伊藤さんが同氏から性的暴行を受けたとして1100万円の損害賠償を求めた民事訴訟を起こし、東京地裁は19年12月に同氏に330万円を支払うよう命じ、勝訴した1審判決翌日の19年12月19日に、自身が書いた一連の風刺画はフィクションであり、地裁判決を受けて削除する意向はない旨のツイートをした。さらに同月には「お! 尻勝訴ー!!」などの文言とともに、伊藤さんを想起させる女性や裁判官、報道陣らを漫画に描いた。B氏は、蓮見氏が18年2月に投稿した漫画をリツイートした。C氏は、蓮見氏が19年12月19日に投稿した、同氏が書いた一連の風刺画はフィクションであるなどとした投稿をリツイートした。山口氏は20年1月6日に、決を不服として東京高裁に控訴している。

蓮見氏は、この日、出廷しなかった。伊藤さんは「蓮見さんが今日の朝まで、こちらに来ると伺っていたので、かなり緊張していました」と語った。その上で「訴えている相手方は(誹謗中傷を)拡散した人々ですけども、拡散をする場になっているプラットフォームにも、やはりこの問題を一緒に考えていただきたい、取り組んでいかなければならない」と訴えた。

伊藤さんの弁護人は、被告側が請求の棄却を求めてることを明らかにした。