東京五輪で日本人の"合理的泣き寝入り体質"が世界にさらされる?

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『週刊プレイボーイ』で「挑発的ニッポン革命計画」を連載中の国際ジャーナリスト、モーリー・ロバートソンが指摘する、日本人の"合理的泣き寝入り体質"とは――?

(この記事は、7月19日発売の『週刊プレイボーイ31・32合併号』に掲載されたものです)

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東京五輪の開幕が間近に迫るなか、コロナ対策を含めたもろもろの問い合わせなどに関する大会組織委員会の対応のまずさを告発する連続ツイートが話題になりました。ツイートの主は、カナダの報道機関で仕事をしている日本在住の記者の方です。

大会組織委員会は、海外から来るメディア、代表団などの団体に対して「コロナ連絡窓口係」の設置を義務づけており、その記者も「窓口係」として関係者を日本に所定の手続きに沿って入国させ、滞在中は大会側が定めたルールに従わせる任務を課されているそうです。

ところが、組織委員会側からの働きかけは、20分程度で終わる音声つきプレゼン資料を見るだけの"養成クラス"を1回受講させられただけ。その後は質問メールを送っても「99%は返事もない」といいます。さらにコロナ対策の中心となるバブル方式の不徹底も指摘し、「日本に住む者として、こんなにずさんで大丈夫かとすごく不安」と吐露しています。

日本の大手メディア関係者であれば、たとえ同じような状況に置かれても、組織委員会との良好な関係を優先して告発は控えたのではないかと思いますが、これは国際的に見れば極めて異例です。

本来、記者といえば決して「お行儀がいい」人たちではない。相手が誰であろうと、問題があれば手段を問わず周知することで状況を改善させようとする――それが職業上の行動原理であってしかるべきでしょう。

日本のメディアや国民は根本的に、権威に従順です。あれだけ大会の開催に批判的な報道をしながら、いざ大会直前になればスパッと"感動待望モード"に切り替わるテレビ。社説で五輪開催反対を表明しつつ、大会のスポンサーは降りないと堂々と宣言する新聞。そしてメディアのそうした姿勢を、最終的には許してしまう国民。

自分もこの間までは反対していたけど、もう「やる」と決まったんだから応援しようよ――と、とりあえず現状を追認し、自ら納得できるようなロジックを勝手に頭の中で構築していく。......これ、いくらなんでもわきまえすぎじゃないでしょうか?

こうした日本人の"合理的泣き寝入り体質"とでもいうべきメンタリティは、計40年以上日本で暮らしてきた僕でもいまだに「なんでそうなるの?」と思ってしまいます。いわんや、海外メディアの記者たちがそれを理解することは不可能。オリンピック・パラリンピックの大会中に、運営や行政、あるいは日本政府に対する批判が海外メディアで報じられる可能性は高いでしょう。

そして、おそらくそのとき、日本の大手メディアは「海外メディアがこう報じている」と、主義主張なきいつもの"客観報道"を決め込むことになる。自分たちが権威と持ちつ持たれつの関係を続けているという自覚すらないままに。

誰もが文句を言う"お上"を、いったい誰が支えているのか。それはメディアであり、その奥にいる大多数の国民(自分では現政権に批判的だと思っている人々も含む)ではないでしょうか。

僕が五輪に期待することはほとんどありませんが、日本人の"合理的泣き寝入り体質"が海外メディアにさらされ、改善に向かうきっかけになればいいなということはかなり本気で思っています。

●モーリー・ロバートソン(Morley ROBERTSON)
国際ジャーナリスト。1963年生まれ、米ニューヨーク出身。レギュラー出演中の『スッキリ』(日テレ系)、『報道ランナー』(関テレ)、『所さん!大変ですよ』(NHK総合)ほかメディア出演多数。NHK大河ドラマ『青天を衝け』にマシュー・ペリー役で出演し大きな話題に!

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