コラムニスト・勝谷誠彦氏を襲った"重症アルコール性肝炎"の恐怖

コラムニスト・勝谷誠彦氏を襲った"重症アルコール性肝炎"の恐怖

軽井沢の自宅でくつろぐ、元気な頃の勝谷誠彦氏(2016年)

■異様に膨らんだ腹と黄疸が問題だった

11月28日、コラムニストの勝谷誠彦さんが亡くなった。57歳の若さだった。

今年8月、重症アルコール性肝炎で入院。一時は自宅に帰れるまで回復したものの、その後、症状は悪化し、帰らぬ人となった。

メールマガジン『勝谷誠彦の××な日々。』の配信元・世論社の代表で、勝谷氏の友人だった高橋 茂氏が闘病の日々を振り返る。

「2015年から、異変は感じていました。その年の春に彼は鬱(うつ)になったんです。鬱は3ヵ月ほどで回復しましたが、僕と顔を合わせるときは、いつも酒を飲んでいた。昼も夜も関係なく。それに食べ物もほとんど口にしない。『俺は酒でカロリーを取ってるんだ』と言うんです。体の筋肉も落ちていて、以前の精気は感じられませんでした」

2年後の2017年7月、勝谷氏は兵庫県知事選に立候補するが、落選。

「選挙期間中は、さすがに昼から飲むことはありませんでしたが、夕方になると飲み始める。その頃から下っ腹が膨れていたんですよ。僕は『腹水かもしれないから病院に行け』と言ったんですが『病院に行くと酒を止められるからいやだ』と断られました」

今年8月に入ると、認知症のような言動が出始めた。

「いつも飲んでいる店なのに『ここどこだっけ?』と自分のいる場所がわからなくなるんです」

飛行機に乗る時間や明日の予定を伝えてもすぐに忘れてしまうのだ。また、8月10日に配信されたネット番組では、勝谷氏の顔の黄疸(おうだん)や異様に膨れた腹が問題になった。

「自分でも『おなかが痛い』と言っていたので、心配になってマネジャーが都内の病院に連れていったんです。すると、肝臓は通常の5倍くらいに膨れ上がり、心臓は弱っていて、腎臓も半分くらいしか機能していない多臓器不全の状態だった」

緊急入院が決定した。

「病名は『重症アルコール性肝炎』。ICU(集中治療室)に入ったときには、意識もなくなっていた。1ヵ月後に生還できる確率は半分だと聞き、これはダメかもしれないと思いました」

しかし、奇跡的な回復を遂げる。

「数日後に意識が戻り、黄疸もなくなり、腹も一番ひどいときより引っ込んだ。数値も日ごとに良くなっていくので『治る可能性が十分ある』と担当の医師から言われました」

そして、10月9日には退院。入院して足腰が弱くなってはいたものの、自分で迎えの車に乗り自宅に帰った。

「あれだけの経験をしたのだから、さすがにもう酒は飲まないだろうと思っていたのですが、彼は退院したその日からまた酒を飲み始めていた。自宅に酒の空き瓶がたくさん転がっていたんです」

そのうち、再開していたメルマガの内容もおかしくなり、10月19日には暗号のような文章になったため、高橋はメルマガの休載を決断する。

そして、勝谷を兵庫県尼崎市の実家に連れていった。

「実家で酒を飲まないように見てもらうしかないと思ったんです」

しかし、腹水の状態が悪くなったため、11月頭に都内の病院に再入院。

「入院していれば数値は良くなるので、1、2週間もすれば退院できるかなと思っていたんですが、突然、病院から連絡が来て『病室から大量の酒の空き瓶が見つかった』と言われました。コンビニに買いに行ってたんです。これはショックでした。せっかく治りかけていたのに、また自分から悪くしてしまうなんて」

本人に治そうという意識がなく、規則を破ってしまったのだから、病院から出ていくしかなかった。その後、勝谷氏は実家のある尼崎の病院に入院することになる。

「11月25日くらいから、病状がさらに悪くなり、呼吸もしづらくなってきたので、人工呼吸器をつけるようになりました。そして3日後の28日午前1時48分、肝不全でこの世を去ったのです」

大量飲酒が勝谷氏の寿命を縮めたのは間違いない。

重症アルコール性肝炎とは、いったいどんな病気なのか? どんなお酒の飲み方をしたら重症アルコール性肝炎を発症してしまうのか?『週刊プレイボーイ』52号(12月10日発売)では肝臓疾患のスペシャリストに話を聞いている。

取材・文/村上隆保 写真提供/高橋 茂

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