主力の新幹線回数券も販売終了。逆風の金券ショップに"次 の一手"はあるのか!?

コロナ禍でイベントや旅行需要が激減、主力の新幹線回数券も販売終了でどうなる?

昨年の東北・上越方面に続き、東京〜名古屋・新大阪など主要区間の新幹線回数券の販売が3月31日に終了。JR各社はチケットレスサービスの割引を充実させ、回数券ユーザーの移行を促している。

この影響で主力商品を失ったのが金券ショップ。そんなショップの今を取材した。

■新幹線回数券廃止のダメージは深刻!?

古物商許可を得て、新幹線チケットやデパート共通商品券をはじめ、映画鑑賞券にコンサートやスポーツイベントの入手困難なチケットに至るまで幅広いジャンルで販売・買い取りをする金券ショップへの逆風が止まらない。

近年は各業界でスマホやPCなどで予約・購入できるサービスが普及し、チケットレス化が進行。さらに2019年にはチケット不正転売禁止法が施行。イベントチケットの定価を超える額での取り扱いが不可に。

それに代わる収入の柱として始めた外貨両替も、コロナによる外国人観光客の減少で下火。そして3月末で、ビジネス客の利用が多かった新幹線回数券の大部分の販売が終了。この状況にどう立ち向かうのか。

3月下旬、東京都内にある金券ショップの激戦地、新宿西口周辺を巡ってみた。まだ新幹線の回数券が販売されているからなのか、店のカウンターには多くの人が群がっていた。商品券を20万円分、利用回数が2回分だけ残っている青春18きっぷ、映画の前売りチケットなど、購入するものはさまざまだ。

1枚480円で販売されていた500円のQUOカードを大量に購入していたサラリーマンに話を聞いてみた。

「ガソリン代が高いのでQUOカードを買って少しでも節約できたらと。1万円のカードを買うより500円を20枚買ったほうが安いので」

また、外貨を両替しに来た女性は、「コロナが落ち着いたら海外へ行こうと思ってアメリカドルを持っていたけど、いつになるかわからないし、円安が進んでいる今が一番替え時かなと。金券ショップはレートがいいので」。

都内のもうひとつの激戦地、JR新橋駅烏森(からすもり)口周辺を巡っても、新幹線回数券を購入する人はたまにいる程度で、強いて言えば商品券、QUOカードなどを購入する人が若干多く、それ以外は満遍なく売れている状況だった。

金券ショップの顔ともいえる、店頭の新幹線回数券の販売価格表。回数券の有効期限である6月末日でこの表示は終了となるだろう

現場を取材した感触では、回数券がなくなる影響は少ないのではないか。そんな印象を抱いた記者だったが......。

「新幹線回数券は収益の柱。これがなくなるのは、金券ショップの存亡に関わる問題ではないでしょうか」

そう心配するのは、2017年から昨年までの4年間、金券ショップでアルバイトをしていたお笑い芸人のママタルト・大鶴肥満(おおつる・ひまん)氏だ。

「僕がいた店では、新幹線回数券が売り上げの柱でした。2019年のチケット不正転売禁止法で激レアチケットにプレミア価格をつけての販売がアウトになり、扱わなくなってからは、回数券への依存度がさらに上がりました。

イベントチケットを定価を下回る金額で販売している店もありますが儲けも少ないし、コロナでイベントが中止、延期になるリスクがある。なので、まだ扱ってる店でも主力商品ではないと思います」

新幹線回数券は新宿駅や大阪駅からも利用できるが、ネット割引だと東京〜新宿駅や新大阪〜大阪駅の区間は別途乗車券が必要

新宿や新橋のショップでは、商品券を10万円単位で売買する人の姿を見かけたが......。

「新幹線回数券に比べて、商品券は店の利益率が低いんですよ。店の買い取り価格と販売価格の差は0.1%ほど。つまり100万円分の商品券を仕入れて売ったとしても、儲けは1000円にしかならない。

それでも以前は、海外からの旅行客が爆買いするために商品券を大量に買っていったので、商売としてうまみがありました。ですが、コロナで爆買いする人が減ってしまったので、商品券だけで儲けを出すのは難しいと思います」

この数年で取り扱うショップが増えた外貨両替についてはどうか。

「手数料収入による利益率が高いので両替を扱う店が増えましたが、やはりコロナの影響で日本に遊びに来る人が減ったので、儲けとしては少ないですね」

■レターパックが収益の柱に?

新幹線回数券の廃止とコロナによるインバウンド需要の減少。どう打破していくのか。大鶴氏に占ってもらった。

「交通系の株主優待券が売れるのではないでしょうか。JR東日本の株主優待券は東京〜仙台・新潟などの新幹線チケットが4割引きになる商品。昨年、東北・上越新幹線の回数券が廃止された後に購入者が増えています。

JR東海も株主に10%引きのチケットを発行しているので、買う人が増えそうですね。JALやANAも50%引きの優待券を出しているので、交通系はこれが主流となるでしょう」

ショップで販売中の鉄道各社の株主優待券。JRだけでなく、京王、東武、近鉄、名鉄など大手私鉄の優待券も販売
国内路線の運賃が正規料金の半額になるANAの株主優待券。出発前なら便の変更手数料が何度でも無料となるため、ビジネスの際に利用する人が多い

特に期限ギリギリのものはかなり安く売られていてお得だが、売り上げの主力も優待券が中心となるのか?

「株主優待券は発行枚数が限られているので、売り上げ増は間違いないと思いますが、主力とまではならないかと。個人的に僕が注目しているのは切手。おととしの2月に郵便局でクレジットカードが使えるようになってから、1000円切手を大量に売りに来る人が増えてきました。

需要と供給の関係で切手の買い取り価格は額面の85〜90%程度。一方、メルカリなどの個人売買が増えて需要が上がっているレターパックの販売価格は定価の95%程度。郵便局では、切手1枚当たり5円の手数料を払えばレターパックに変えることができます。

なので、1000円切手を安く買い取り、郵便局でレターパックに交換して店で販売したら、利益率は4〜9%ほどになる。この数値は新幹線回数券並みに高い」

ほかにも、古物商の許可を生かして中古ブランド品の扱いを始めたり、この時勢に合わせてコロナの抗原検査のキットを販売する店が登場するなど、すでに新たな一手を投じ始めている店もある。

今は厳しい状況かもしれないが、金券ショップは今後も時代に合わせた収益の柱を見つけ、われわれに新たな「お得」を提供してくれるだろう。

取材・文・撮影/渡辺雅史(リーゼント)

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