令和で注目が集まる『万葉集』。当時は人妻不倫の大ブームでその内容はスゴかった?

令和で注目が集まる『万葉集』。当時は人妻不倫の大ブームでその内容はスゴかった?

『万葉集』のなかには「筑波山の祭りで男女が集まりセックスを楽しんでいた。それを見た夫婦が自分もそのなかに入り楽しんだという」といった内容の歌もある

『万葉集』の歌からとられた新元号「令和」。そのため今、万葉集に注目が集まっている。ならば、その内容をしっかり勉強しなければ......。

そう思って専門家に聞いてみると、実は、万葉集はエロが満載の歌集だった!

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■人妻不倫に巨乳女。万葉集はエロを詠む

新元号の「令和」は、主に奈良時代にまとめられた『万葉集』の梅32首の歌から取られたものだと安倍晋三首相は言った。

そのため、今あらためて万葉集が注目され、売り切れる書店が続出するほどの大ブームになっている。

では、万葉集とは、どんな本なのか?

『本当はエロかった昔の日本』(新潮社)で『万葉集』を分析した古典エッセイスト・大塚ひかり氏に聞いてみた。

「『万葉集』は日本最古の歌集です。天皇から庶民まで幅広く多くの人が詠(よ)んだ4500首以上の歌をまとめたものです。

当時(8世紀)の日本には、まだひらがなやカタカナがなく、中国の漢字を当て字にしていました。暴走族がよく使う『夜露死苦(よろしく)』みたいなものですね」

では、万葉集の特徴は?

「それはエロい歌が多いということです!」

ええーっ! 万葉集ってエロいんですか?

「はい。学校で勉強したり、学者が歌を選んだものは、エロい歌を除いているんですよ。

例えば、巻九の1759に『鷲の住む 筑波の山の 裳羽き津の その津の上に 率ひて 娘子壮士の 行き集ひ かがふ?歌に 人妻に 我も交はらむ 我が妻に 人も言問へ(後略/わしのすむ つくばのやまの もはきつの そのつのうへに あどもひて をとめをとこの ゆきつどひ かがふかがひに ひとづまに わもまじはらむ わがつまに ひともこととへ)という歌があります。

これは『今日は筑波山の神が許した祭りだ。俺もひとつ人妻とセックスしよう。皆も俺の妻に言い寄れ』という意味です。

和歌で口説くお見合いパーティ。それも既婚者オッケーの乱交パーティに近い、と言ったら言いすぎかもしれませんが......」

乱交パーティ!? す、すごいですね。ほ、ほかには?

「巻九の1738に『しなが鳥 安房に継ぎたる 梓弓 末の珠名は 胸別の 広き我妹 腰細の すがる娘子の その姿の きらきらしきに 花の如 笑みて立てれば 玉桙の 道行く人は 己が行く 道は行かずて 呼ばなくに 門に至りぬ さし並ぶ 隣の君は あらかじめ 己妻離れて 乞はなくに 鍵さへ奉る(後略/しながとり あはにつぎたる あずさゆみ すえのたまなは むなわけの ひろきわぎも こしぼその しがるをとめの そのかほの きらきらしきに はなのごと えみてたてれば たまほこの みちゆくひとは おのがいく みちはいかずて よばなくに かどにいたりぬ さしならぶ となりのきみは あらかじめ おのづまされて こはなくに かぎさへまつる)という歌があります。

これは『千葉県の南部に、巨乳で腰が細くくびれたナイスボディの女がいる。その女がほほえむと、道を歩いている男は、呼ばれもしないのに女の家の前まで行ってしまう。隣に住んでる男なんて妻と離婚して、言われてないのに自分の家の鍵を渡したそうだ』という意味なんです。

また、この歌には反歌があり『金門(かなと)にし 人の来(き)立てば夜中にも 身はたな知らず 出でてそ逢(あ)ひける』です。

意味は『男が来ると、この女は夜中でも出てきてセックスしてくれる』というもの」

■月は男を表し、山は女を意味する

万葉集のエロい歌は、まだまだある。

「巻十の1889は『我(わ)がやどの 毛桃(けもも)の下に 月夜(つくよ)さし 下心よし うたてこのころ』

毛桃は女性器の隠語です。月の意味にはふたつの解釈があって、ひとつは月経。『古事記』にも月経を意味する月が出ています。

ヤマトタケルがミヤズヒメとセックスしようとしたら『襲(おすい/衣)の裾に月立ちにけり』(君、生理中じゃん)と言った。するとヒメは『あなたを待ちくたびれて生理になっちゃった。でも、いいじゃない。セックスしましょう』と答えています。ですから、月を月経とするなら『うちの娘に初潮が来たので、内心はうれしい。でも、これからが大変だなあ』という意味になります。

もうひとつが、月を男性器とする解釈。『月がさす』というように『さす』ものは男を示し、『山に月の光が入る』など『入る』ものは女を表すんです。『源氏物語』が書かれた平安時代などでは、男性器での使い方が多いのですが、万葉集の時代は、まだ月経のことを意味してると思います」

なんだか勉強になります。

「巻十二の2851『人の見る 上(うへ)は結びて 人の見ぬ 下紐開(したびもと)けて 恋ふる日そ多き』は『人が見ている上着の紐は結んでいるけれど、人が見えない下着の紐は結んでいない。こうしてあなたを待っている日が多いの』という歌です。

当時、下紐が自然と解けたり、眉毛がかゆかったりすると、恋人がやって来るというジンクスがあったんです。

それを逆手にとって、あえて下紐を解いて待っている。『あなたが来るのが待ちきれない。早くセックスをしたいから、パンツを脱いで待っているね』みたいなことです。

また、巻十二の2925『みどり子この ためこそ乳母(おも)は 求(もと)むといへ 乳(ち)飲めや君が乳母(おも)求むらむ』は、『乳母は赤ちゃんのためにいるんだけど、あなたはおっぱい飲みたいの? 私は乳母みたいな年だけど』という意味で、当時はかなり年上の女との恋もあったようです」

万葉集はマジメな歌ばかりかと思ったら、実はエロい歌がたくさんあった。こんな歌を学校で教えてもらったら、もっと古典が好きになってたかもしれない。

それにしても、エロい万葉集から新元号を取ったということは、日本の少子化問題を考えてのことなのか......?

そうだとしたら、やるな安倍首相!

取材・文/村上隆保 イラスト/はまちゃん

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