三陸鉄道リアス線に乗車した市川紗椰「目の前に広がる長い防波堤に、受けた被害の大きさを実感しました」

三陸鉄道リアス線に乗車した市川紗椰「目の前に広がる長い防波堤に、受けた被害の大きさを実感しました」

リアス線の田野畑駅近くにある、三陸鉄道の車両を模した水門です

『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は、鉄道マニアの彼女が3月に開業した三陸鉄道「リアス線」について語ってくれた。

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今年3月、三陸鉄道に「リアス線」が誕生しました。もともと、東日本大震災によって不通となっていたJR東日本・山田線の一部区間が、復旧と同時に三陸鉄道に移管されたことにより、同じく震災で被害を受けた北リアス線・南リアス線と統合されて、全体がリアス線として新たに開業されることになったんです。山田線は4駅が全壊し、約25kmの線路が流失・浸水しましたが、8年かかって開通となりました。

この統合によって岩手の沿岸部は一本の路線でつながり、第三セクターでは最長の路線となりました。私もさっそく乗りに行ったんですが、久慈駅から盛駅までの約4時間30分は、とても乗り応えがありました。

車窓からは海だけが見えるわけではなく、突如として趣のある巨岩が現れたり、深い森に突入したりするので、ドラマチックで飽きません。田野畑駅の近くにある、三陸鉄道の車両を模した不思議な水門など、ちょっぴり変わっていて魅力的なポイントもたくさんありました。

各駅のアナウンスで、「○○でおなじみの...」と地元の宣伝が入ったりするのも楽しかったですね。「猫の道」「塩ロード」といった、気になる単語が満載でした。

もうひとつ特徴的な風景は、目の前に広がる長い防波堤。場所によって高さや車両との距離は違いますが、あの"コンクリートの壁"が間近に迫るほど、受けた被害の大きさを実感しました。

防波堤ができたことで「本来の景観が損なわれた」という意見もあるようですが、まだ建設中の防波堤や多くの工事現場、「ここまで津波が来ました」と書かれた看板を見た人は、何かしらの思いが胸に突き刺さるはずです。

さて、今回の開業に合わせて、新車両が8両投入されました。私は、そのうち「36−700形」という一般車両に乗りました。デザインはこれまで三陸鉄道を走っていたものと変わらないんですが、車内にボックスシートが増えたりと改良が施されています。

個人的に感心したのが、窓の日よけ。鉄道車両の日よけって、決まった位置でしか止まらないものが多いんですが、新車両ではどこでも止まるようになっています。「日が傾いてきたけどもうちょっと風景を見たい」というようなときに繊細な調整ができる、優秀な日よけだと思いました。

また、車体にはアラビア語と英語、日本語で「クウェート国からのご支援に感謝します。」という一文が書かれていました。実は震災の際、クウェート政府から日本に多大な支援が行なわれ、その一部がこの新車両の購入に充てられたそうです。

新車両の中にはレトロ調の観光車両もありますが、その絨毯(じゅうたん)がどことなく中東っぽいのは、もしかするとそのせいかもしれません。

今は開業で注目を集めていますが、いかに盛り上がりを継続させられるかが課題です。三陸にはおいしい海鮮やお酒があるので、"居酒屋列車"を運行するのはいかがでしょう?

電車に揺られながらホタテを焼いたり、取れたてのウニやホヤを堪能したりできる列車があってもいいかな、と思います。

来週は、沿線のオススメスポットや、三陸鉄道へのルートを紹介します。

●市川紗椰(いちかわ・さや)
1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、J-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』(毎週土曜21:00〜)などにレギュラー出演中。鉄道会社にもかかわらず、カキやホタテの干物といった、おつまみっぽいお土産がやたら充実していることに驚かされた

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