市川紗椰にとって理想だった、引退する「スーパービュー踊り子」の"ちょうどいいおもてなし"

間もなく引退の名車、スーパービュー踊り子。皆さんもぜひ最後にご乗車ください

『週刊プレイボーイ』で連載中の「ライクの森」。人気モデルの市川紗椰(さや)が、自身の特殊なマニアライフを綴るコラムだ。今回は鉄道ファンの彼女が「スーパービュー踊り子」について語る。

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今年3月のダイヤ改正で、「スーパービュー踊り子」の251系電車が営業運転を終了します。1990年に登場してからちょうど30年走っていた列車です。

東京から伊豆方面に行くには、新幹線や各種特急列車、またJRの在来線のグリーン車などさまざまな鉄道ルートがあるんですが、私は迷わずこのスーパービューに乗っていました。

スーパービューはリゾート型特急の典型であり、私にとっては理想でもあります。現在、JR東日本が運行している特急には、「あずさ」や185系の「踊り子」などベーシックな造りのものから、「越乃Shu*Kura」や「リゾートしらかみ」といった観光列車までさまざまありますが、スーパービューはそれらの中間の"ちょうどいいおもてなし"をしてくれます。

まず、座席の床が高いハイデッキ仕様になっていて、2階に乗る形になるので、トンネルが間近に迫るダイナミックな光景を味わうことなどができます。展望車はもちろん、車両の窓が天井の一部まで食い込むように伸びているので、広い視界も確保されています。

グリーン車ではなくても座席のスペースが広かったり、個室やキッズルーム、グリーン車専用ラウンジなど設備が充実しているのもうれしいです。

最近の観光列車は設備がとても豪華で、やや持て余しながらも「満喫しなきゃ」というプレッシャーを感じてしまうことがあります。落ち着きをなくしてしまうことすらあるので、スーパービューはそういった点でも理想的です。

食事もちょうどよくて、近頃多く見られる「贅沢(ぜいたく)!」ではなく、「なんかイケてる」くらいの、通常の車内販売をちょっと特別にした感じのメニュー。カートに生ビールのサーバーが乗っていたり、アイスが限定だったり、移動中のテンションは上がるけど、現地に着いてからも食を楽しむ余裕を残してくれるラインナップでした。

こうした「ベーシックから外れない程度に高いグレード」が私にはちょうどいいんですよね。今は乗ること自体が目的の観光列車が定番化し、わざわざ列車に乗ってもらうための工夫がてんこ盛りですが、スーパービューが生まれたバブル期は放っておいても人が乗ったのか、贅の尽くし方に余裕を感じます。程よいグレードアップ。これぞ「ナイスバブル」です。

3月14日には、E261系の新型特急「サフィール踊り子」がデビューします。東京五輪による外国人観光客の増加を見据えた世代交代です。全車がグリーン車になっている上に、プレミアムグリーン車も1両設けられています。

いろんな麺が食べられる「ヌードルバー」なる施設も設置されるそうですが、あえて「軽食」にしたことには期待しています。「あくまでアクセス特急ですよ」というサフィールの意思、受け取りました。

でも、185系の「踊り子」もいつなくなるかわからないので、私がサフィールに乗るのは、踊り子を乗りつぶしてからでしょうかね。

●市川紗椰(いちかわ・さや)
1987年2月14日生まれ。アメリカ人と日本人のハーフで、4歳から14歳までアメリカで育つ。現在、モデルとして活動するほか、J-WAVE『TRUME TIME AND TIDE』(毎週土曜21時~)にレギュラー出演中。市川紗椰初の鉄道本『鉄道について話した。』発売中。眺めのよさを和製英語化した「スーパービュー」、フランス語でサファイアを意味する「サフィール」。名前にも時代の変化を感じる。Official Instagram【@sayaichikawa.official】

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