葬儀まで「自粛」のケースも。新型コロナウイルスの深刻な"死後問題"

遺族も濃厚接触者である可能性が高く、葬儀を自粛せざるをえない場合も多いという。※写真はイメージです

新型コロナウイルスによる国内の死亡者は3月19日時点で31人。しかし今後、中国やイタリアのような"感染爆発"が日本でも現実のものとなれば、その数がドッと増えてしまう可能性もある。では、もし自分の家族や近しい人が感染して亡くなったらどうなるだろうか?

通常の場合、遺体は病院などでエンゼルケア(清拭など)や身繕い(死装束などへの着替え)が施された後、自宅などに搬送され納棺される。その後は通夜、葬儀、火葬と段階を踏むのが一般的だ。

だが、新型コロナ感染者の遺体の取り扱いについて、神奈川県内の葬儀会社社長はこう話す。

「新型コロナに感染した方のご遺体は、原則として厚生労働省の指針に沿って取り扱うことになります。通常、蘇生の可能性が残る死後24時間以内の火葬は法律で禁じられていますが、指定感染症に指定された新型コロナの場合はその対象外。鳥インフルエンザやSARSと同じく、遺体からの感染を防ぐ目的で死後24時間以内の火葬が認められています。

また、新型コロナの感染者の場合、多くは感染症指定病院でご臨終を迎えますので、感染を防ぐために院内の霊安室などで指定の納体袋に収容・密封後に消毒され、納棺されます。感染症で死亡した際は清拭や身繕い、体液の流出を防ぐ綿詰めといった処置は行なわれないことが多い。おそらく新型コロナで亡くなった場合もそうなると思います」

では、その後の通夜や葬儀はどうなるか? 新型コロナによる死者が12人に上る名古屋市健康部の担当者がこう明かす。

「狭い会場に大勢の人が集まる通夜や葬儀はクラスターの発生リスクがあり、また、ご遺族は亡くなった感染者の濃厚接触者である可能性もあります。そのため通夜や葬儀はご遺族が自粛し、遺体は病院から直接火葬場に搬送され、死後24時間以内に火葬されるケースが多いのが実情です」

遺体の搬送や火葬の段階でも、通常とは異なる点が多い。ある葬儀会社の社員ががこう話す。

「弊社の場合、新型コロナに感染したご遺体の火葬場への搬送は通常料金で引き受けますが、寝台車へのご遺族の同乗はできません。また、搬送時には運転スタッフの防護服の着用と車内の消毒が必須ですが、防護服も消毒液も現在、品薄で入手困難な状況にあるため、今後はご依頼を受けたくても引き受けられないケースが出てくる恐れもあります。

火葬場の受け入れ体制も通常とは違い、都内のある火葬場では感染防止のために遺体の受け入れは『開場時間外のみ』、場内での立ち会いは『5人まで』、遺族が遺体に直接触れることや、火葬炉前での花入れなどのお別れも『不可』としています。それ以前に、新型コロナに感染した遺体の受け入れ自体を行なっていない火葬場もあります」

一方、感染拡大が続くなかでは「感染が疑われる肺炎患者」の遺体の取り扱いも難しい問題だ。ある葬儀会社の社長がこう明かす。

「亡くなられた方が新型コロナに感染していれば、病院は葬儀会社に告知をします。しかし、PCR検査を受けずに亡くなった場合、その方に感染の疑いがあっても、病院は守秘義務の観点からその事実を告知しません。だからといって、われわれのほうから悲しまれている遺族に『新型コロナの疑いは?』とズケズケと聞くわけにもいかず......。

そのため結局、防護服もマスクも着けず、遺体との濃厚接触を伴う納棺や葬儀を引き受けなければならないことになる。今、葬儀会社はPCR検査を受けずに肺炎で亡くなられた方のご遺族からの依頼にはビクついています」

猛威を振るう新型コロナは、"死後"にまで深刻な影響を及ぼしている。

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