小島慶子の今週の気になるコト――なぜ今、ひとり親支援が必要か

今困っている人たちの支援は必須です

ZOZOの創始者である前澤友作氏が「前澤ひとり親応援基金」を創設、1万人のシングルマザー&ファーザーに現金10万円ずつ配るという施策をはじめ、さまざまな支援を打ち出している。

タレントでエッセイストの小島慶子が、世間の気になる話題に思うあんなこと、こんなこと。

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宇宙に行くより、ずっといい。夢も大事ですが、毎日の暮らしに届く取り組みには拍手を送りたいです。

先月、前澤友作さんが「前澤ひとり親応援基金」を創設。コロナ危機の影響を受けたひとり親を対象に、10万円を抽選で1万人に配布しました。応募総数は44万7000人余り。続いて新たに10億円を出資して「株式会社 小さな一歩」を創業。未払いの養育費の回収を行なうための法的支援を提供すると発表しました。同社はひとり親を100人雇用するとしています。

なぜひとり親ばかり? 今はみんな苦しいのに......と思った人もいるかもしれません。120万世帯余りのひとり親世帯の多くがシングルマザーです。その半数以上が相対的貧困状態にあります。

女性は男性よりも所得が低く、子育ての時間を確保するためには長時間勤務ができず、雇用は不安定。非常時にはもともと経済的基盤が脆弱(ぜいじゃく)な人たちが最初に雇い止めなどの打撃を受けるのです。

実は私も先月仲間たちと、ひとり親など困窮した女性と子供の支援を行なうNPOなど20団体余りに寄付をしよう!というサイト「ひとりじゃないよプロジェクト」を立ち上げました。

プロジェクトで行なったひとり親家庭へのアンケートでは、コロナ危機で失業したり収入が大幅に減ったりした人が少なくありません。7割が食費を切り詰め、5割以上が貯金を切り崩しており、なかにはその日の食べ物に困る家庭も。

多くのNPOは資金面で苦しい状況にありながら、困っている人たちに食べ物を届けたり相談に乗ったりしています。余裕のある人が政府の給付する10万円の中などから、少しずつでも寄付をすれば、すぐに助けが必要な人のために税金を生かすことができます。今はお金のあるところからないところへと回さなくては、人が亡くなるかもしれない状況です。

日本では、ごく普通の暮らしをしていた人が離婚してひとり親になると貧困に陥りかねません。多くの場合、子供を引き取るのは女性。女性のひとり親の就労収入は男性のひとり親の半分の200万円ほど。養育費を受け取れている家庭は24.3%しかありません。男性のひとり親も子育てに困難を抱えたり、孤立に悩んでいます。

日本では子供の7人にひとりが貧困状態。コロナ危機の影響で今後失業者は増えるでしょう。今困っている人たちの支援は必須です。私は前澤さんの取り組みに賛同します。

前澤さんへ「そもそもおまえが離婚してるだろ」というツッコミがあるけど、日本の婚姻当たりの離婚数(離婚率)は35%。生きるためしんどい結婚にしがみつかなければならないのは不幸です。これを機に、人助けが揶揄(やゆ)されない社会にしたいです。

●小島慶子(こじま・けいこ) 
タレント、エッセイスト。佐藤愛子との往復書簡集『人生論 あなたは酢ダコが好きか嫌いか 女二人の手紙のやりとり』(小学館)が好評発売中

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